mechanical pencil(シャープペンシル),
watercolor pencil,
illustration board 30×42×0.1cm(A3)
2007年
これは、昔、友人の為に描いた絵です。
宇宙空間をシャープペンシルで描いた最初の絵です。
This is artwork that I drew for my friend long ago.
It is the first painting of space with a mechanical pencil.
※リンク(Link)
→《大いなる種族(大天使)カタログ(The Gigantic Tribe(ARCHANGEL) CATALOGUE)》
《詩(Poem)》
【旅人(Face Traveler)】
もう どれだけ待ったろう・・・
どれだけ 移動してきただろう・・・
どれだけ探したのだろう・・・
やっと見つけた・・・
自分以外の意思をもったもの・・・ひと・・・
かすかに語りかけてくる声・・・うた・・・
センサにわずかに反応する・・・うた・・・
額に感じられる かすかな・・・うた・・・
まだ眼ではわからない・・・もの・・・ひと・・・
まだ見えない・・・もの・・・ひと・・・
額への響きは少しづつ・・・拡がってゆく・・・
まだ見えない・・・もの・・・ひと・・・
どこか懐かしい響き・・・ひろがってゆく・・・
まだ見えない・・・ひと・・・
ひと・・・真空のそらに浮かぶ ひと・・・
白いもの・・・ひと・・・眼に映るひと・・・
もう遥か思い出の彼方にわたしはFace Traveler と呼ばれていた・・・
わたしは永遠とも思える旅を続け・・・
いまやっと出逢う・・・ひと・・・
それは・・・ひと・・・
なぜ顔がないの・・・
これはわたし・・・
わたし・・・の体・・・
【未来へ】
種族はもう少数となり、永遠に時を漂う処置を施す準備を創めた。
わたしは旅をすることに決めた。
真空を永遠に・・・
この身体から顔を離す。
額の上部中心から綻びが出来、両側へ丸く下に降りてくる。
耳の前を過ぎ、円弧を描き顎まで降りて繋がった。
顔が切り取られた様に線が描かれた。
実際、切り取られているのだ。
外からは解らないが、今、骨や内部組織が顔表面の線から奥へ綻んでいる。
綻びが頭部の奥で一つに繋がり、切り取られた。
切り取られた部分が前方に迫り出してくる。
額の後ろに脳が付いている。
時を・・真空を・・漂う為に・・・
脳の保護シールド
額にセンサ
エネルギー収集機 兼、太陽風推進帆
重力推進機
顔の周辺部に開閉式のサイズダウン腕
そして永遠の海に放たれた。
種族の記憶を繋げる為に・・・
【接触】
私は縮小投影クローンを造り、私の身体へと送り出した。
身体は私の下方向2kmの所に私と空間距離を保ったまま前面をこちらに向けている。
縮小投影クローンは40mの体を私の感情そのままに、早く抱きつきたいとばかりに手足を大の字に広げ、私の身体に向かって徐々に小さくなっていく。
クローンの身長の5倍はある乳房にもうすぐ着きそうだ。
広げた両手が乳房に触れようとゆっくりと前に出される。
両手の影が乳房の上で短くなっていき、指先とその影が触れた瞬間、私の身体は音も無く一瞬にして粉々になった。
宇宙で永遠ともいえる時の中で劣化した身体が、触れられた瞬間破裂した。
微細なパウダーが輪郭のぼやけた身体の形のままに徐々に膨張していく。
クローンは一瞬にして、加速されたパウダーによって身体の表側を叩きつけられて形は無く、裏側のみが、膨張していくパウダーに埋もれている。
もう宇宙には私しかいないのか。
そして身体も今はもう無い。