acrylic,
illustration board 38×59×0.2cm
2024年
《このアートワークに関連した構造説明図(Structural drawing related to this artwork)》
《大天使を描いたアートワーク(Artwork depicting archangels)》
→カテゴリー【大いなる種族ー大天使ー】(Category【The gigantic tribeーArchangelー】)
《このアートワークについて(Regarding this artwork)》
停滞フィールドは直径1500m、その中の大天使は身長2000m。
その停滞フィールドの半分を挿入する巨大滝は高さ10000m、長さ300km。
このアートワークは大天使の入った停滞フィールドを中心にして巨大滝の中腹を描いている。
あまりにも巨大な滝は、このスケール感では滝表面の水の飛沫の様子は判別できず、滝壺はこのアートワークの遥か3000mも下にある為に跳ね返る飛沫も見えない。
滝の表面は、落ちる水の相互干渉と、水と周りの空気との圧力によって、穏やかな波が発生し綺麗な模様となっている。
停滞フィールド内の空間は、通常の空間とは別の振動数を持つ為、滝の水と停滞フィールドは同一空間に存在していても互いに干渉しない。
別の振動数ということは別次元であるということ。
停滞フィールドは、同一空間に存在しているが振動数が異なる別次元の存在なのである。
その為、滝の水が停滞フィールドと干渉することはなく、跳ね返ることもなく、遮られることもなく、まるで球形の停滞フィールドなど無いかのように落ちていく。
それはモノノ怪や妖怪やお化け(死んだ人々)がこの世界に居るのと似ている。
停滞フィールドが彼らのような高みの存在達と異なるのは次の点である。
真空中での速度が一定である光や電磁波等の量子は停滞フィールド内の空間を認識できる為、視覚的には滝の中の停滞フィールドの球形やその中の物質は視認できる。
また、この大天使は停滞フィールドの設定において、視覚的優先順位を停滞フィールド内とし、同一空間に存在する滝の水を見えなくして、停滞フィールドを形作っている量子光を優先としている。
The stasis field is 1500m in diameter, and the archangel within it is 2000m tall.
The giant waterfall that inserts half of its stasis field is 10000m high and 300km long.
This artwork depicts the middle of the giant waterfall with the stasis field containing an archangel at its center.
The waterfall is so huge that, at this scale, it is impossible to discern the splashing water on the surface of the waterfall, and since the waterfall basin is far below this artwork at 3000m, the bouncing splashes are also not visible.
The surface of the waterfall has a beautiful pattern of gentle waves caused by the mutual interference of falling water, and the pressure between the water and the surrounding air.
The space within the stasis field has a different frequency than normal space. Therefore, the waterfall water and the stasis field do not interfere with each other even though they exist in the same space.
Another frequency means another dimension.
The stasis field is being of separate dimension with a different frequency of vibration even though it exists in the same space.
Therefore, the waterfall water does not interfere with the stasis field, does not bounce off, is not blocked, and falls as if there were no spherical stasis field.
It is similar to the way mononokai, yokai, and ghosts (dead people) exist in this world.
The stagnant field differs from their higher beings in the following ways.
Quantum such as light and electromagnetic waves, which have a constant speed in a vacuum, can recognize the space within the stasis field, so visually, the spherical shape of the stasis field in the waterfall and the matter within it are visible.
In addition, in setting up the stasis field, this archangel makes sure that the visual priority is within the stasis field, making the waterfall water in the same space invisible and the quantum light that forms the stasis field a priority.
《物語(Story)》
【瞑想に浸る大天使ー水に満ちた惑星の巨大滝ー(The Meditating ArchangelーGiant waterfall on a water-filled planetー)】
その惑星は総てが青かった。
所々に薄明るい青が散在したが、全体的には深い青だった。
総てが海だった。
散在する薄明るい青い場所は、浅い水に浸かった大陸や島だった。
浅いと言っても大陸や島の水深は数十mから数百mあった。
そしてそれ以外の深い青は水深数千mから数万mあり、十万mを超える場所もあった。
それらの大陸や島は常に水に浸かっている為、厳密には大陸とも島とも呼べない状態だったが、この総てが海に覆われた惑星においてはそれらを敢えて大陸や島と呼んでいた。
その水に満ちた惑星においては、大陸さえも水を通してしか見ることは出来ず、深い青の海に散在する薄明かるい青として存在している。
その惑星の表面の総てが水に満ちているのだった。
その比較的大きな大陸の西の端に高さ10000mを超える崖が存在した。長さは300kmを超えていた。
当然のことながら、その大陸自体も全体が水に浸かっていた。
その付近の風の流れ、海水温による対流、惑星の自転による海水の流れ、衛星との潮汐力等により、その大陸の西端の海水は大陸から外側へ離れるように流れていた。
その海流は激しく、崖付近の大陸の海水を常に海側に流そうとしていた。
その為、その大陸を覆う崖付近の水は常にその崖に流れ込んでいた。
そしてその大量の水は巨大な崖を落ちる巨大な滝と成っていた。
それは、高さ10000m、長さ300kmの巨大な滝であった。
総てが水に満ちた惑星の中で珍しく縦方向に移動する水を見ることができる場所であった。
勿論、海中で縦方向に流れる海流は至るところに存在するが、大気に触れる形で縦方向に流れる水はこの巨大な滝が唯一のものだった。
そしてその巨大な滝の中央付近に奇妙な場所があった。
それは流れ落ちる大量の水の中で不自然に存在する円であった。
まるで流れ落ちる滝をそこだけ正確な円形に切り取ったように見える。
落ち続ける大量の水がその円に当たって跳ねることもなく、その円に遮られて左右に押し分けられることもなく、流れ落ちる大量の水の途中に只すっぽりと正確に円形の穴が空いているのである。
そしてその円形の穴は直径が1500m程もあった。
高さ10000m、長さ300kmの巨大な滝の中央に存在する直径1500mの正確な円形のなのである。
そしてその円形の穴の中には人がいた。
巨大な人が円形の穴を塞ぐように身体の左側を外に向けて座っていた。
その人は女性のようだった。
そしてその女性の身長は2000mもあった。
彼女は“大天使”だった。
彼女は、存在する個体数が少なくなった“大いなる種族”と呼ばれる古参種族の末裔の一人であった。
彼女らは宇宙種族達に崇められており、“大天使”とも呼ばれていた。
彼女は目を瞑っていた。
身動きひとつしていなかった。
彼女は瞑想をしていた。
もう既に200年もそうやって瞑想をしていた。
この水に満ちた惑星は海流が穏やかな地域もあるが、多くの地域が常に大洪水と言ってよい状態であり、特にこの巨大滝の地域は物凄い轟音に包まれて大量の水が落ち続けている壮大で過酷な地域である。
彼女はこの轟音と水量の中で、この惑星における200年以上もの間、瞑想し続け、内なる世界に入り込んでいるのである。
彼女はこの巨大な滝の轟音を求めてこの惑星にやってきた。
巨大な滝の中央にやってきた彼女は、フィールドジェネレータで自身の周りに球形の停滞フィールドを展開したのだ。
そして流れ落ちる大量の水の中に停滞フィールドを突っ込ませた。
停滞フィールド内の空間は周りの空間に対してその空間が無いものと見なされる。
流れ落ちる大量の水は、その球形の停滞フィールドを何も無いかの如く振る舞う。
球の上側の面に触れた水は、見た目には消えた後、球の下側の面から現れて周りの水と同様に落ちていった。
流れ落ちる大量の水は、停滞フィールドに跳ね返ることもなく、遮られることもなく、まるで球形の停滞フィールドなど無いかのように落ちていった。
真空中での速度が一定である光や電磁波等の量子は停滞フィールド内の空間を認識できる為、視覚的には滝の中の停滞フィールドの球形やその中の物質は視認できるのである。
停滞フィールドとは、光や電磁波等の量子には感知できるが、物質には感知できないものなのだ。
停滞フィールド内のものは物質による物理的な干渉を受けないということになる。
それは停滞フィールド及びその中に居る者は如何なる物質も通り抜けられることを意味する。
そしてそれは何者からも物質による物理的な攻撃を受けないことを意味するのである。
停滞フィールド内の空間と通常の空間とは別の振動数を持ち、同一空間に存在していても互いに干渉しないのだ。
彼女の同族である大天使又は宇宙の支配種族である七歳の星の種族だけが持つ強い超能力による量子干渉以外には彼女の瞑想は邪魔されないということなのだ。
彼女は停滞フィールドを滝の中に突っ込ませて、滝周りの空気に反響する轟音を聴きながらも滝の水に包まれる感覚を得られるように、滝の表面に停滞フィールドの球の直径部分が丁度来るように停滞フィールドの半分を滝の中に入れて、空間相対ロックを作動させ停滞フィールドを固定した。
そして視覚的優先順位を停滞フィールド内とし、停滞フィールドと同一空間に存在するが振動数が異なる為に感知できなくなっている滝の水を見えなくして、停滞フィールドを形作っている量子光を優先とした。
停滞フィールドの球の内表面の半分には、落ちてきて停滞フィールドの球の上面に触れる瞬間の滝の水や、下面から落ちていく瞬間の滝の水が、量子光の輝きの中で模様を描いている。
大量の水が流れ落ちる壮大な光景と轟音と量子光に包まれて、彼女は瞑想に入っていった。
古参種族である大いなる種族(大天使)達は個体数が少なくなり、自分達の存在意義を各個体がそれぞれに見出だそうとしながら永い時を生き続けてきた。
やるべきことを見つけ、それを実践している者も多くいた。
しかしながら、この個体のように永い間それを見つけようとしている者もいた。
彼女は自らの心に深く入り込み、自分の心の中を旅していた。
何もかも掻き消す轟音を求め、その轟音の中で瞑想に入った彼女は、もはや轟音も届かない程の深い永い旅に浸っていた。
自らの存在の意味を見つめる旅。
いつか旅から帰還するのだろう。
それはもう直ぐかもしれない。
永い永い遥か未来かもしれない。
何かを見つけた時、彼女は旅から帰還するだろう。
大天使の願い、大いなる種族の願い、美しかった宇宙を取り戻すという宇宙全体の願いを未来に繋げる為に。
落ちていく大量の水に反射する陽光が、停滞フィールドの中の彼女の両腕と両脚のグレースフルクリスタルを輝かせる。
流れ落ちる荘厳な巨大な白壁に、留まり続ける紅く柔らかいクリスタルの光。
それは、そこだけ時が止まったかのように妖しくも美しく輝き続けている。