
mechanical pencil(シャープペンシル),
acrylic,
illustration board 12.8×18.2×0.1cm(B6),
2026年
《物語(Story)》
【導かれし者(The one who is guided)】
「うわぁ、凄くデカいなぁ」
私は今、ずっと念願だった憧れの惑星に観光に来ている。
見上げた目の前には、夢にまで見た巨大な種族が水辺で岸に上がってくる姿がある。
私達は岸辺の高台に立って、水辺の沖の方の私達から離れたところをあるいていた彼の姿を眺めていたが、彼が向きを変えてこちらに向かって来たかと想ってから間もなく、私達の立つ岸辺の高台からその巨大な姿を見上げる位置で水辺から岸に上がってきた。
私は何故か、この巨大な種族に特別な想いを抱いていた。
彼らが知的生命体だと判明する前から、私は彼らを食することは出来なかった。そして何故かとても親近感を抱いていた。
そして今、私は彼らの住むこの惑星の大地に足を踏みしめている。
私は念願の惑星に観光旅行に来た。
いつも一緒に暮らしている丸い“もふもふ”と伴にこの惑星にやって来た。
そしてもう一人、今は入院している友人も連れてきていた。
入院といっても大病とかではなく、学校の授業のスポーツで骨折しただけなので、暫くの間だけ入院する予定だ。
その様な入院をしている友人をどうやって連れて来ているのかというと、それはホログラム観光旅行システムを利用しているのだ。
それは自宅等に居ながらにして観光旅行が楽しめるサービスである。
ここ最近、知られる様になってきたサービスで、私の周りでも利用している人がちらほら居たりする。
このサービスは、誰かが一緒に旅行先に持っていったシステムのホログラム端末を通じて、そのホログラムが見たものや感じたもの、例えば光景や触った感触や周りの風の感触、また音や香り等までもを自宅端末を通じて自宅等に居ながらにして感じられるシステムである。
自宅等に居る人は自宅端末によってホログラムに包まれ、旅行先のホログラムと同じ感覚を味わうことが出来るのだ。自宅等に居る人は寝る姿勢であってもホログラムに包まれれば旅先の感覚を味わうことが出来る為、入院中の友人でも問題はないのだ。
友人はまるで旅行先の私達と一緒に観光している感覚になれるのである。
少し前までは、ロボットを使ったロボット観光旅行システムというものがあった。
身長や体型が変形するロボットの表面に顔や衣装を映し出して本人の変わりに観光旅行に連れていくものだった。そしてロボットが視たものや感じたものを自宅端末を通じて自宅等に居ながらにして感じられるものだった。
ホログラム観光旅行システムと似ているけれど、観光にロボットを連れていくのは荷物にもなるし色々大変だからと普及しなかった。
それを改善する形でこのホログラム観光旅行システムが出てきたんだ。
これならホログラム投影機を持っていくだけだし、投影機は直径30cm程のもので厚みも3cm位で結構軽いんだ。
そしてホログラム投影機にはダークマタープレートが内蔵されていて、地面から少し浮かんでいて移動することも出来る。私達の移動に付いてくる様に設定することが出来るんだ。だから私達が歩いている時の風景の変化等も友人は病院に居ながらにして一緒に感じられるんだ。
今、私と“もふもふ”は、この惑星の宇宙種族である巨大知的宇宙種族を見上げて感嘆の声を挙げているところだ。
私達の声と同時に友人のホログラムから同様の声が挙がる。
「うわぁ、凄くデカいなぁ」
友人は今、病院のベッドで横になりながら、この惑星を観光しているのである。
この感動を友人も一緒に味わっていることが私はとても嬉しい。
“もふもふ”もホログラムの方に向きながら「凄いよね」と言っている。
“もふもふ”はペットとして飼われている生命体なのだが、飼い主の言葉を理解できるし言葉を話すことも出来る。
完全な知的生命体ではないのだが準知的生命体として認知されている種族なのである。
彼らは上に伸びる長い耳を持ち、跳び跳ねることが出来る脚を持ち、ボールの様な球体の身体を持ち、柔らかいふんわりとした毛を纏わせた種族である。
私にとって相棒の様な存在である。
巨大宇宙種族は、他の宇宙種族の様な科学技術を用いた生活を行ってはいない。
自然の中で自然と伴に生活している。
だから故に、過去には知的生命体としては見なされず食用家畜とされていたのだろう。
しかし今では他の宇宙種族よりもずっと高みの存在であることが知られている。
こんな風に三人で観光を満喫して、念願の巨大種族を見上げて感動している私に突然誰かが話しかけてきた。
「楽しんでいるかね」
私はビックリして思わず口にした。
「誰?」
そして周りを見回したが、“もふもふ”と巨大宇宙種族しかいない。
そしてまた話しかけられた。
「やっと逢えたね」
私はまたもやビックリした。
「えっ?」
そしてまた言葉が聞こえる。
「君はずっとここへ来たがっていただろう?」
私は見上げた巨大種族を見つめる。
彼には目が無いが、何故か私を見つめている様な気がする。
「もしかしてあなた?」
声が響く。
「そうだよ」
そして私は同時に気づいた。
彼の声はずっと私の心に直接響いているのだと。
彼ら巨大宇宙種族は口から超音波を発するが言葉を話すことはないのだ。
彼はテレパシーで私に話し掛けていたのだ。
彼は、私がこの惑星に訪れたいと願っていたことや、この巨大種族に親近感を抱いていることを知っていたと言う。
私の想いが、宇宙空間を隔てていても惑星から惑星へと、ずっと伝わっていたのだと言う。
そして私は、廻る星空を見ていた。めくるめく宇宙を見ていた。
肉眼の視界ではない。
肉眼の視界のこの惑星の風景に重なって、宇宙の星空が見えるのだ。重なった惑星の風景より宇宙の星空の方が鮮明に強く認識できる。
この光景は彼が見せているのだろう。
彼らは、ヒューマノイドのサードアイと同様の感覚、ヒューマノイドの覚醒した松果体と同様の器官を用いた感覚を私に送り込んでいるのだろう。
そう、彼らは開眼しているだけでなく、その光景を他の者に共感させられる超能力をも有しているのである。
この様な高みの種族を長年食していたなんて、この次元の宇宙種族達は何と愚かなのだろうか。
そして私は、前からこの種族に対して親近感を抱いていた理由を理解したと感じた。
私は彼に「凄い超能力ですね」と伝える。
彼は「それは君が同様の超能力を持っているからだよ」と言う。
私は「えっ?どういうこと?」と聞き返す。
彼は言う。
「同じものを持っていないと伝えることは出来ないんだよ。
それに今も君は言葉を発してはいないよ。
君と私は心で話しているんだよ。」
私はそう言われて初めてそれに気づいた。
私は知らぬ間に心が覚醒している状態になっていたらしい。
その時、“もふもふ”が私に話し掛ける。
「そうだよ、僕も君にずっと心で話しているんだよ」
私は初めてそれにも気づく。
そういえば“もふもふ”が話すなんてことは誰も言っていないし、何処にも書かれてもいない。
なのに私は“もふもふ”が話すことが当たり前に想っていた。
そうだったんだ。
そして私の心の中にある想いが浮かび上がる。
えっ?もしかして、“もふもふ”って、準知的生命体ということになっているけど、本当は違うんじゃないの。
この巨大種族がそうだった様に、“もふもふ”も知的宇宙種族なんじゃないの。
それにこの巨大種族って、こんなことが出来るのなら、目が無くてもサードアイである程度の視界があるんじゃないの。
その様な想いがどんどんと湧き出てきた。
私は想う。
宇宙種族って、本当に愚かなのかもしれない。
権力や科学技術や戦力で劣る者を見下し、自分達が上だと満足している。
でも実は本当の世界はそんなことではないのかもしれない。
高みの心を持った者達は知られずにもっと多く居て、理不尽に見下されているのかもしれない。
そして私はもっと踏み込んだことに気づく。
宇宙の支配種族である七歳の星の種族は、宇宙で最も強い超能力を持っている。それは宇宙種族の総てが崇める大天使(大いなる種族)と同等だと言われている。
その様な七歳の星の種族は、当然ながら、今私が考えたことを考えているのではないだろうか。
支配種族は、本当は、知的生命体として認識されていない種族の中にも超能力を使える高みの心を持った種族が居ることを認識しているのではないのか。
それを解っていて、権力と科学技術と戦力が総てだという今の宇宙を敢えてその様に支配しているのではないのか。
そういう世界を敢えて造り上げて、自分達は超能力を駆使して更なる支配を進めようとしているのではないのか。
私はそんなことに気づいてしまったのである。
《物語の登場人物の紹介(Character descriptions in the story)》
[頭部に触角を持つ宇宙種族]
・ヒューマノイドの女性
・頭部に鞭の様な2本の触角を持つ。
・おかっぱの髪の毛と触角の根元を覆う様な帽子(ビーニー)を被っている。
触角を外に出す形で被る為に特殊な構造をしている。
帽子の頭頂部の内側(被った時に2本の触角の根元部の間に位置する部位)には通信機内蔵コンピューターが内蔵されており、銀河アーカイブへのアクセスやあらゆる言語の翻訳及び映像や写真の保存など様々なことを行うことが出来る。
・この女性は自分では気づいていない様だが高みの心を持っている様で、知らず知らずの内にテレパシーを使っている。
この観光旅行でそのことに気づかされる。
この鞭の様な触角を持つ宇宙種族自体が超能力を使える種族なのかもしれない。この触角は周囲への調整や気配りに役立つものであり、この種族の心を高みに保つことに貢献しているのかもしれない。
[もふもふ]
・ボールの様な球体の身体をしている。
・上に伸びる長い耳を持つ。
・跳び跳ねることが出来る脚を持つ。
・胴体と耳と脚に柔らかいふんわりとした毛を纏わせている。
・口(嘴(くちばし))が目の下にあるが毛の奥にあり普段は隠されている。
・細い2本の腕が毛の奥に隠されている。
・口から食物を摂取することもあるが頻繁ではなく、主なエネルギーの摂取方法は耳から行う。
長い耳の内側一面のひだにより、時空間に織り込まれたエネルギー量子から直接にエネルギーを摂取する。
・エネルギー量子から直接にエネルギーを摂取したり、テレパシーを用いたり出来る為、結構な高みの種族である。
準知的生命体とされているが、実は知的宇宙種族と認識されるべき種族である可能性が高い。
[ホログラム観光旅行システムを利用して観光している友人]
・ヒューマノイドの男性
・学校の授業のスポーツで骨折して入院している。
・ホログラム観光旅行システムを利用して観光していて、入院中の病院のベッドに自宅端末を持ち込んでホログラム観光をしている。
ホログラム端末は頭部に触角を持つ宇宙種族が持ってきている。
《このアートワークに関連するアートワーク(Artwork related to this artwork)》
《このアートワークに関連する構造説明図(Structural drawing related to this artwork)》
※リンク(Link)
→ホログラム観光旅行システム(Holographic Tourism System)
《物語(Story)》
【その存在を食用家畜として強いられていた巨大知的宇宙種族(The giant intelligent space tribe whose existence was forced upon them as livestock for food)】
或る惑星には家畜として水辺に生息している巨大な生命体が存在した。
彼らは長年に渡り、宇宙種族達に食用にされてきた。
しかし宇宙種族達は後々、彼らが知的生物体なのだということに気づいたのだ。
詳細な調査がなされた後、彼らは家畜としての存在ではなくなり、知的宇宙種族として数えられることになった。
しかしながら、過去に彼らを食用としていた宇宙種族の中には、彼らが知的宇宙種族と判明した後も彼らを密猟する者が現れた。
密猟をする宇宙種族は他の宇宙種族から非難され、自惑星内でも罪として罰するなど自種族を律していたが、他の宇宙種族から蔑まれる立場になっていった。
宇宙種族の中でも精神的に高度な種族達は、肉類を食さないどころか、エネルギーを得る為に食物を食べて消化するという行為をしない。
彼らは時空間に織り込まれたエネルギー量子から直接エネルギーを摂取する。
そういった精神的に高度な宇宙種族達は、密猟をする宇宙種族を最下層の種族であると見下していった。
そしてまた、この巨大知的宇宙種族自体も時空間に織り込まれたエネルギー量子から直接エネルギーを摂取することが可能であり、精神的なレベルは高度なのであった。
《巨大知的宇宙種族の外観とその他の特徴(Appearance and other characteristics of the giant intelligent space tribe)》
[外観]
・体長:20m
・哺乳類に似た生命体。
・長い首を持つ。
・首の中央上部に大きめの脳を内蔵する頭蓋骨を持つ。
・目は無い。
・喉の発生器官が生む超音波を首の先端の口から発し、口の周りの受取器官で超音波を受け取り、互いに意志疎通をする。
・球体の様な胴体を持つ。
・脚は6本有り、最前の2本はヒューマノイドに似た7本指の手を持つ腕になっている。
・6本の脚の後ろの4本で歩く。
・小さい尾を持つ。
[エネルギー摂取方法]
①時空間に織り込まれたエネルギー量子から、首部と臀部に並ぶ斑点を通じてエネルギーを直接摂取する。
②植物の果実を口から摂取する。
[性格]
・性格は温厚であり、それ故に過去においてこの種族が食用家畜という状態に置かれ続けていたとも言える。
[マインドのレベル]
・時空間に織り込まれたエネルギー量子から直接にエネルギーを摂取できることからも察することが出来るが、彼らのマインドのレベルは結構な高みに達しており、テレパシー等の超能力を使うことが出来る様だ。
《ホログラム観光旅行システムについて(Regarding Holographic Tourism System)》
自宅等に居ながらにして観光旅行が楽しめるシステム。
誰かが一緒に旅行先に持っていったシステムのホログラム端末を通じて、そのホログラムが見たものや感じたもの、例えば光景や触った感触や周りの風の感触、また音や香り等までもを自宅端末を通じて自宅等に居ながらにして感じられるシステムである。
自宅等に居る人は自宅端末によってホログラムに包まれ、旅行先のホログラムと同じ感覚を味わうことが出来る。
自宅等に居る人はどんな姿勢であってもホログラムに包まれれば旅先の感覚を味わうことが出来る。
[ホログラム端末(Hologram Terminal)]
旅行先で使用するホログラム投影機及び感覚情報送信機。
・直径:30cm / 厚み:3cm
・質量:2kg(但し内蔵されているダークマタープレートにより持ち運ぶ者には重さ400gに感じられる)
・ホログラムの視覚、触覚、聴覚、嗅覚等を自宅端末に送信する。
・自宅端末を通じて使用者の動きや声を投影できる。
・ダークマタープレートが内蔵。
使用時は地面から少し浮かび、移動も可能。
旅行者の移動に同行する様に設定することが出来、使用者は旅行者の歩行時の風景の変化等を自宅等に居ながらにして一緒に感じられる。
・持ち運び用の取っ手が突出する。
[自宅端末(Home Terminal)]
自宅等で使用する感覚情報受信機及びホログラム投影機。
・縦:20cm/横:10cm/厚み:5cm
・質量:750g
・使用者をホログラムで包み、ホログラム端末から受信した旅行先のホログラムの感覚を使用者に投影する。
・使用者の姿勢に関係無く、感覚を投影できる。
・ダークマタープレートが内蔵。
使用時は床から少し浮かび、使用者をホログラムで包む為の角度になる。
・持ち運び用の取っ手が突出する。
※ホログラム観光旅行システムの前に、ロボットを使ったロボット観光旅行システムというものがあった。
身長や体型が変形するロボットの表面に顔や衣装を映し出して本人の変わりに観光旅行に連れていくもので、ロボットが視たものや感じたものを自宅端末を通じて自宅等に居ながらにして感じられるものだった。
ホログラム観光旅行システムと似ているが、観光にロボットを連れていく必要があり荷物にもなり、色々大変な為に普及はしなかった。
ロボット観光旅行システムを改善する形でホログラム観光旅行システムが開発された。