ーHare's worldー 晴れ(Hare)が紡ぎ出す絵と物語 宇宙の生命、それらが憧れる地球の女神 魅惑の世界が広がる Arts and stories spun by Hare. Lifeform in the universe, the goddess of the earth that they yearn for, the fascinating world spreads

半円形で切り取られた巨大な崖、半円形の巨大な透明人工物、城もしくは宮殿(The Huge Cliff cut out by a Semi-Circle, The Huge Transparent Artifact in a Semi-Circle, The Castle or The Palace)

半円形で切り取られた巨大な崖、半円形の巨大な透明人工物、城もしくは宮殿

acrylic,
canvas 33×24×0.3cm(F4)
2023年



《このアートワークに関連した構造説明図(Structural drawing related to this artwork)》

※リンク(Link)
半円形で切り取られた巨大な崖、半円形の巨大な透明人工物、城もしくは宮殿[構造説明図](The Huge Cliff cut out by a Semi-Circle, The Huge Transparent Artifact in a Semi-Circle, The Castle or The Palace[structural drawing])


《この光景について(Regarding this spectacle)》

2023年8月6日、妙な光景が2秒ほど映された。
目の前にというか、心にというか、私は妙な風景を見せられた。

風景の半分を占める中央の巨大な崖を除けば、それは緑豊かな山間の景色だった。
巨大な崖は剥き出しの褐色の地肌をこちらに向けていた。
その巨大な崖が妙なのだ。
崖は正確に巨大な半円形で切り取られていた。
円弧を下に向け、真っ直ぐな直径部分が崖の上端になっていた。
そして切り取られたその向こうは緑の山間だった。
正確な半円形に切り取られた部分には巨大な無色透明の人工物が設置されているようだった。
巨大な透明の半円の向こうが緑の山間ということは、崖は厚みがそれほど無いのだ。
そうは言っても崖自体が巨大である為、崖の長さに対して厚みがそれほど無いのであって、実際の厚みは数百mもあるに違いない。
緑の山間の谷を横切るように壁のような巨大な崖が立っていると言った方が良いかもしれない。
谷を横切る崖の長さも2kmはあるだろう。
そして高さも1km以上はある。
半円形の直径は崖の長さの2/3ほどもあり、崖の右寄りに設置されている。
山間の谷に立つ壁のような巨大な崖が、巨大な半円形で切り取ったように加工されていて、そこに無色透明な巨大な人工物が嵌められているのだ。

崖は山間の山腹に接していた。
崖の左端の山腹には建物が建っていた。
一見では建物の大きさを把握出来ないが、崖の巨大さを考えると建物も結構大きいのだろう。
それは城のようでも宮殿のようでもあった。
地球では見ない建築用式だった。
この光景を見せられた瞬間に私は解っていた。
この光景は地球ではない。
崖の右端はこの光景の画面の縁にある為に解りにくいが、緑が少し繁っていた為、左端と同じように右の山腹に接しているのだろうと想像できた。

果たしてこの光景は何なのだろう。

ここから先に記すのは、この異星の光景を映された後にこの光景について考察している時に、私の心に流れてきたこの崖の構造についてである。
それは下記のようなものである。
・半円形の巨大な透明人工物は円中心で回転するように可動する。
・通常時は、半円の直径となる直線部分(巨大な透明人工物の平面部分)が垂直になるように設定されている。
・その平面部分は城のような建物から外側に向けられていて、巨大な透明防壁として城を護っている。
・入城時及び退城時は、巨大な透明人工物が90度回転し平面部分が崖の上端と同一面になり、橋として機能する。

この異星の光景は、一見、緑の山間の風景なのだが、余りにも正確で綺麗な半円で切り取られた巨大な崖が、この光景の奇妙さを私に投げ掛け、そしてそこに巨大で透明な人工物が設置されているという事実が、この光景の奇妙さを更に増したのだ。
そして巨大な崖の左側に存在する見慣れない城のような宮殿のような建物が、建物自体も大きいのだか、更に、この崖と透明な半円形の人工物が如何に巨大なものであるかを実感させたのだ。
また、見せられた光景の透明な半円形の人工物が平面部分を上に向けていたということは、この光景は入城または退城のタイミングだったのではないかと想われるのだ。
もしくは、この場所には平和が訪れており常に橋が架かった状態だったのかもしれない。
透明な半円形の人工物の下端の崖に、雨露等による汚れが目立っていなかったのを考えると、常に橋が架かった状態というのが正解なのだろう。

この光景は私の過去生が見たものなのだろう。
私はこの光景をアートワークとしても描き留めることにした。

2023年 8月7日 7時37分に記す。


《物語(Story)》

2023年9月27日、私の心に、この半円形の巨大な透明な橋についての物語が流れてきた。
その物語を書き留める。

【半円形で切り取られた巨大な崖、半円形の巨大な透明人工物、城もしくは宮殿(The Huge Cliff cut out by a Semi-Circle, The Huge Transparent Artifact in a Semi-Circle, The Castle or The Palace)】

客人がこの宮殿に間もなく到着するようだ。
透明な橋の向こう岸の隧道から兵隊の列が現れ始めた。
客人である彼の父親には幾度となく戦を仕掛けられ、城でもあるこの宮殿に辿り着く前に応戦したものだ。
和平交渉及び和平条約調印の後、彼の父親と私は平和を続ける努力を欠かさず、父親が逝去した後も彼との付き合いは続いている。
今日は和平条約調印記念日であり、式典の為に彼の方からこの宮殿に赴きたいとのことで了承した。
盛大に祝いたいとは言っていたが、兵隊まで引き連れてくるとは、まあ彼らしいとも言える。

一個小隊ほどの礼装を着た兵隊が整列して行進してくる。
その後に移動車両に乗った彼が隧道から現れた。
彼も礼装である。
その後にもう一個小隊ほどの兵隊が行進してきた。
これで終わりかと想ったが、その後ろに見たことの無い巨大な移動車両が付いてきていた。
私は少し離れたところでこの光景を見ていた執事に尋ねた。
「あの巨大な移動車両は何だろうか」
執事も訝しげにそれを見ながら言った。
「一昨日ご子息から不思議な話を聞いたとの連絡がありました、何でも街の工場が巨大な移動車両を城へ納入したのだとの噂が出回っており、それが今日の式典に向けてのものらしいのだと」
息子は客人である彼の国に留学しており、定期的に私や執事に色々な報告をしている。
「他の話をされた後に最後の付け足し話として話されたもので、重要視しておりませんでした」
「これのことなのでしょう」
「王様、報告を怠り申し訳ありません」
執事は焦りながら話した。
そして直後に私が言葉を放ったのと同時に、執事も私と同じ言葉を続けて言った。
『あれには大隊が潜伏している』

私は執事に命令した。
「橋を立てる準備をさせろ」
「私が出す合図で回転を始めるのだ」
執事は回転機を管理する橋管理塔に詳細を伝える為、連絡コンソールへ向かった。

彼の前後の礼装の兵隊の列も、礼装の彼も、透明な橋の上を移動していた。
巨大な移動車両も透明な橋に差し掛かっていた。
その時、隧道からは巨大な移動車両がもう一台現れた。
彼は二個大隊を連れてきているのだ。
彼はこの城兼宮殿を確実に制圧しようとしているのだ。

命令を伝え終わった執事がこちらに戻った。
「何と二個大隊とは」
執事が驚きの言葉を挙げる。
「問題ない、確実に落としてみせる」
「そうですな」

2台目の巨大な移動車両の後に軍服の一個小隊が付いてきており、それが最後尾だった。
最後尾の一個小隊が透明な橋に差し掛かり、列全体が暫くそのまま橋の上を移動してきた。
礼装の彼が橋の中央部を過ぎた頃、礼装の彼は後ろを振り向き、右手を挙げ、何かを叫んだ。
その直後、2台の巨大な移動車両の前面と側面が下方へ扉のように開き、車両から武器を装備した軍服の大隊が溢れだした。
そして大隊の群れは、礼装の一個小隊の両脇、礼装の彼の移動車両の両脇、先頭の礼装の一個小隊の両脇を走り抜け、橋のこちら側へ向かってきた。

私は携帯していた通信機で直接、橋管理塔に命令した。
「今だ、橋を回転させろ」

橋はその巨体にも関わらず軽やかに回りだした。
橋の円弧部分の下面と崖の円弧面には浸透強化樹脂コーティングが施してある。それは崖の強化をすると共に橋と崖との摩擦を最小限にする効果もあるのだ。
橋はその半円形の透明な巨体を円中心にこちら側へ競り上がってきた。
そして息巻く大隊の群れも、礼装の小隊も、礼装の彼も、巨大な移動車両も、軍服の小隊も、総てを崖下に落としていった。
礼装の彼は移動車両の上に鎮座したまま落ちていった。
誰も助からないだろう。
この崖は高さが1km以上あるのだ。
崖の円弧面に落ちていった者達も多いだろう。
円弧面に落ちても700mある。
後に掃除が大変だろう。だがそれは仕方がない。
直ぐに状況を彼の国に連絡し、交渉に入らねばならない。
制圧しようとした事実は隠せない。
軍服の二個大隊が武器を装備し攻め込もうとしたのだ。
それを隠す為の新型移動車両も開発していたのだ。
彼の国はどう出るだろうか。
我が国が有利な立場で交渉が成されるか、絶縁となるか、どちらにしても戦時には戻したくないものだ。
どうなろうとも、総ての亡骸を丁重に還すことにしよう。

彼は知らなかったのだろう。
父親から聞いていなかったのだろう。
聞いていたとしても幼いときの記憶は残っていなかったのだろう。
この巨大で透明な半円形の橋のことを。
かつては難攻不落と言われたこの防壁のことを。

私は執事に向き直りながら言った。
「息子には戦時中のことを細かく話しておかなければならないようだな」
「そのようでございますね」
執事は王の哀しげな顔を見ながら答えた。
そして、今の平和は上辺のものなのだと心に刻んだ。


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