ーHare's worldー 晴れ(Hare)が紡ぎ出す絵と物語 宇宙の生命、それらが憧れる地球の女神 魅惑の世界が広がる Arts and stories spun by Hare. Lifeform in the universe, the goddess of the earth that they yearn for, the fascinating world spreads

フロートビークル ーダークマター推進ー(The Float VehicleーDark-matter-propulsionー)

フロートビークル ーダークマター推進ー

mechanical pencil(シャープペンシル),
acrylic,
illustration board 21×30×0.2cm(A4)
2023年



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※リンク(Link)
つがい(A brace)

ある星の湿原に生息する動物達(Animals living in the wetlands on the certain planet)


《フロートビークル緒元》
・全長:5.5m
・推進方式:ダークマター推進球(3球(フロント2球+リア1球))
・乗車定員:4名
・生産星:七歳の星

※ダークマター:時空間に織り込まれている引力斥力を司る量子。七歳の星の種族は宇宙一の超能力を持ち、特にダークマターの操作に秀でている。他では大いなる種族(大天使)もダークマターの操作に秀でている。
※ダークマター推進:ダークマターの引力斥力を司るという特質を七歳の星の種族の超能力を用いなくとも、機械的に使用出来るようにしたシステム。七歳の星が開発した。
※ダークマター推進球:ダークマター推進システムを球体に閉じ込めた製品。球体がダークマターの引力斥力を一番効率良く取り出すことが出来る。用途によって様々な大きさのものがある。
※ダークマター推進の用途:ダークマターは空間には基本的に何処にでも存在する為、ダークマター推進はキャリーバッグから宇宙船まであらゆるものの推進力として使用されている。搭載スペースが考慮されたダークマタープレートも開発されているが、引力斥力の取り出し効率は球体と比較して低くなる。

・ルーフ:開閉式ハードトップ
・ドア:上下スライド式
・トランク:車体前方に設置

・情報表示類
 ・運転席、助手席
  ・ダッシュボード:タッチスクリーン 及び 音声入力
  ・フロントウインドウ:タッチスクリーン 及び 音声入力
 ・後部座席
  ・運転席 及び 助手席 シート背面:ホログラム タッチスクリーン 及び 音声入力

・ランプ類
 ・ヘッドライト
 ・ナイトヴィジョン:ヘッドライト下部
 ・ロワーフロントライト
 ・ロワーリアライト
 ・テールランプ
 ・ブレーキランプ:テール後方中央、テールランプ
 ・ターンランプ:サイド、アッパーサイド、ロワーサイド、フロント(ヘッドライト上部内側)、ロワーフロント(ロワーフロントライト前方)、リア(テールランプ外側)

・カメラ&センサー類
 ・サイド バックカメラ&センサー:左右両側
 ・フロント カメラ&センサー:フロント下部
 ・リア カメラ&センサー:テール後端
 ・アッパー カメラ&センサー:フロントダークマター推進球の上部(2ヶ)、リアダークマター推進球の上部(1ヶ)
 ・ロワー カメラ&センサー:ロワーフロント、ロワーセンター

・エネルギー探知機:ヘッドライト最下部

・ダークマター推進球の性能として高度的には通常の惑星の大気圏外まで上昇することは可能であるが、車体の密封性能的には大気圏外での走行は不向き。
但し、乗員が気密スーツ着用状態であれば大気圏外での走行に問題はない。
・ドアの開閉機構が特殊であり、ドア開時でさえ乗降スペースが狭い為、長身の宇宙種族はルーフをオープンにした状態での乗降が余儀なくされる。

《Float Vehicle specifications》
・Length:5.5m
・Propulsion system:Dark-matter-propulsion-ball(3 balls(2 front balls + 1 rear ball))
・Riding capacity:4
・Production star:The seven-year-old star

※Dark-matter:The quantum that governs the forces of attraction and repulsion interwoven in space-time. The race of seven-year-old stars has the best psychic abilities in the universe, especially in the manipulation of Dark-matter. Also, The gigantic tribe(Archangel) also excel in the manipulation of Dark-matter.
※Dark-matter-propulsion:The system that enables the mechanical use of Dark-matter’s property of controlling attraction and repulsion without the use of the psychic power of the race of The seven-year-old star. It was developed by The seven-year-old star.
※Dark-matter-propulsion-ball:The product in which the Dark-matter-propulsion system is enclosed in a ball. The ball can extract the gravitational force of Dark-matter most efficiently. Various sizes are available depending on the application.
※Applications of Dark-matter-propulsion:Because Dark-matter is essentially ubiquitous in space, Dark-matter-propulsion is used to propel everything from Carry-on bags to Space ship. Dark-matter-plate have also been developed with considering a loading space, but their efficiency in extracting attraction and repulsion is lower than that of balls.

・Roof:Retractable hard top
・Door:Vertical sliding type
・Trunk:Installed in front of the vehicle

・Information displays
 ・Driver’s seat, Passenger seat
  ・Dashboard::Touch screen and Voice input
  ・Front window:Touch screen and Voice input
 ・Rear seats
  ・Driver and Passenger Seat back:Hologram touch screen and Voice input

・Lamps
 ・Headlights
 ・Night visions:Lower part of Headlights
 ・Lower front light
 ・Lower rear light
 ・Tail lamps
 ・Brake Lamps:Rear center of tail, Tail Lamps
 ・Turn lamps:Side, Upper side, Lower side, Front (inside upper of Headlights), Lower front (forward of Lower front light), Rear (outside of Tail lamps)

・Cameras & Sensors
 ・Side back cameras & sensors:Both left and right
 ・Front camera & sensor:Lower part of Front
 ・Rear camera & Sensor:Rear end of tail
 ・Upper cameras & Sensors:Upper part of Front Dark-matter-propulsion-ball (2 cameras), Upper part of Rear Dark-matter-propulsion-ball (1 camera)
 ・Lower cameras & Sensors:Lower front, Lower center

・Energy Detectors:Lowest part of Headlights

・Although the performance of the dark matter propulsion ball allows it to ascend to the outer atmosphere of a normal planet in terms of altitude, it is not suitable for traveling outside the atmosphere in terms of the sealing performance of the vehicle body.
However, if the occupants are wearing airtight suits, there is no problem in traveling outside the atmosphere.
・The door opening and closing mechanism is unique, and even when the doors are open, the space for getting in and out is narrow, so tall space races are forced to get in and out with the roof open.


《物語(Story)》

【つがい(A brace)】

広い草原。
晴れた空が心地よく、時おり涼しいそよ風が草原の表面を撫でて波が流れる。
草原ではあるが地面は湿っていて、草が覆っている湿地である。
所々に綺麗な池が点在している。
近くには高い樹々が聳える林が見え、その樹々を見上げると、蒼い空の広がりが更に高く感じられる。
久しぶりにこんな場所に来た。今が仕事だということを忘れさせる。

林の樹々が何かに擦れて揺れる音がした。
そして樹々よりも高い者が右の方から現れた。
それは少し前から右の方から歩いて来ていた筈であるが、私達は気づかなかった。資料にはこの動物がこんなに静かに動くとは書かれていなかった。
巨体にも関わらず、その動物は振動も音も無く歩いてきた。まるで巨木の丸太がスライドするかの様だ。
素晴らしく優雅な動きである。

「何だか綺麗だな」
「ああ、美しいね」
「優雅だ」
私達は、この星に住むこの動物の生態調査にやって来た。この動物については文献や映像で事前に調べてきたが、実物は初めて見る。
宇宙船はここからは離れた場所に待機している。
私と二人のクルーがフロートビークルに乗り、この動物か通るだろうと予測した地点で待っていた。
万が一、襲われた時はビークルを防御壁で包み込む為に、フィールドジェネレータも持ってきている。
ただ観察するだけなら上空からの観察で良いのだが、彼らの個体毎の把握を行うのも目的である。
彼らの個体毎の把握は、人間などと同じで、指紋で行うのである。彼らの4本の脚の指には指紋がある。そして前脚の親指は地面には触れておらず、近くであれば指紋を撮影出来るのだ。
その為に私達は、地面で待っていたのだ。

「もう少し近づかないと、指紋が見えないな」
「そうだね」
「じゃあ、近づける」とビークル操縦を任せていたヒューマノイドの仲間が、ブレーキを外してアクセルを踏もうとした。
その時、私達の直ぐ上を何か大きな物が凄いスピードで移動した。
私達3人は思わず上を見、そして何も無いと知り、直ぐにビークルの左側を見た。

そこには、巨大な脚があった。そしてそれは次の動作に向かい動いている。
そうだ、もう一頭が近くにいたのだ。
彼らは余りにも静かな動きで歩く為、私達はもう一頭が近づいてくるのを気づかなかった。

先を歩いていた最初の一頭が、頭をこちらの方に向けている。そして何か声を短く発した。
こちらのもう一頭が返事をする様に声を出す。

その時、後脚がやって来た。皆、身を屈める。
猫型宇宙種族の仲間は、身を屈めながら咄嗟にフィールドジェネレータを作動させる。
でも、後脚は上手く私達を避ける様にスムーズに私達の上を通っていく。
この動物は私達を把握している。そして避けてくれた。

彼らはこの星の生物であるが、この星で進化したものではない。
彼らは遺伝子操作で生み出された。
この星に元々住んでいた動物と、ヒューマノイドの遺伝子を組み合わせて生み出された。
彼らに人間の様な指紋があるのも、4本の脚が人間に似ているのも、そして彼らの顔がどことなく人間に似ているのも、それが理由である。
最初はヒューマノイドと同じ知性が備わっていた。
しかし、それは徐々に失われていった。
今でも人間性が残っていると言われているが、それがどの程度なのかを調査することが、私達の最終的な目的なのだ。
私の母星がその結果を知り、何をしようと考えているかは詳しくは知らされていない。
だが、予想以上の知性がまだ在ると判明したときは、この彼らにとっては、今よりも住み難い状況になるのは明らかである。
私の母星である宇宙の支配種族“七歳の星”は、とても傲慢であり容赦ないのだ。
悲しいことだ。

2頭は音もなく歩きながら、木々が刷れる音だけを発しながら、私達から離れていく。
そして彼らは歩きながら、寄り添う様に近づいた。
「ああ、あの2頭はつがいだね」
「そうみたいだな」そう言いながら、彼はビークルのアクセルを踏み、つがいを追いかけた。
「よし、僕が指紋を撮影するよ、上手い操縦を頼むね」と猫型種族が銃型カメラを構える。
「おう、任せな」とヒューマノイド。

私達を避けてくれた一頭の足跡が池となって点々と並んで続いている。
音もなく加速するビークルは、音もなく歩き進むつがいの巨体を追いかける。
ビークルの風切り音と、つがいが揺らす樹々の擦れる音だけが響いていた。


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