mechanical pencil(シャープペンシル),
illustration board 18×26×0.1cm(B5)
2023年
《宇宙船(Space Ship)》
・全長(Over-all length):5000m
・船殻(Ship hull):透明船殻(Transparent ship hull)
※用途
[本来(Originally)]
・小型宇宙船(大いなる種族(大天使)用)
(Small Space Ship(for The Gigantic Tribe(Archangel)))
↓改造(Remodelling)
操縦席スペースを2つの街と工場と農園施設に改造(Remodeling of the cockpit space into two cities, a plant and a plantation)
[改造後(After remodelling)]
・救助宇宙船(流されたスペースコロニーの住民用)
(Rescue Space Ship(for Drifting Space Settlement Residents))
《この構造説明図に関連したアートワーク(
Artwork related to this structural drawing)》
※リンク(Link)
→宇宙を翔る大天使ー彷徨う街ー(The Archangel Soaring Through The UniverseーThe Wandering Cityー)
《大天使を描いたアートワーク(Artwork depicting archangels)》
→カテゴリー【大いなる種族ー大天使ー】(Category【The gigantic tribeーArchangelー】)
《物語(Story)》
【宇宙を翔る大天使ー彷徨う街ー(The Archangel Soaring Through The UniverseーThe Wandering Cityー)】
大天使が宇宙を翔る。
もう何百年と宇宙を翔ている。
頭部には長さ5000mもの宇宙船を繋げ、それはまるで後方に長い巨大な帽子を被って翔んでいるよう。
実際には頸椎と上部胸椎と頭頂と側頸部に宇宙船が繋がっている。
彼女の身長は2000mもある。
腕には宇宙空間移動の為のダークマター操作力増幅スフィアを装着し、大天使自身の超能力である量子エネルギー操作能力(ダークマター操作能力)を増幅し、彼女が宇宙空間を翔ることを可能にしている。
時空間自体に織り込まれて存在する量子であるダークマターが司る引斥力を彼女自身の超能力でエネルギー操作して宇宙空間を翔んでいるのである。
宇宙空間移動時の加減速時や方向変更時において、宇宙船の重量による身体への荷重負担を無くす為に、空間から取り出した量子エネルギーを結合部に集中させて制御し、常にクッション効果を発生させて、首に掛かる荷重を無荷重になるようにしている。
その量子エネルギークッションは大天使の身体全体をも薄く包み込んでおり、大天使の身体を宇宙空間の真空から護っているのである。
彼女達はそれを量子スキンと呼んでいる。
その量子スキンは宇宙船をも覆っているようだ。
そして実は、宇宙船の後半部には街がある。
長さ2000m、幅1000mの街が内包されているのである。
何百年も前、或る星系においてスペースコロニー群が崩壊する事件が発生した。
それはその星系への強襲であった。
住民ごと抹殺され破壊されたコロニーも少なからずあった。
そして一つのコロニーがラグランジュポイント(宇宙空間での近隣天体による重力均等点)から外れ、制御出来ないまま流された。
コロニーを所有する母惑星も同時に強襲されていた。
その為、流されたコロニーは救助されぬまま見放された。
数日後、事件を知った或る大天使が流されたコロニーに駆けつけた。
彼女は、自分が宇宙空間を旅する為に自給自足システムを搭載した1人乗り小型宇宙船を造っていた。
大天使である彼女にとっては小型なのであって宇宙船の全長は5000mあった。
その宇宙船の自分の搭乗スペースを空洞に改造し、そして宇宙船自体を彼女の頭部周りに結合出来るように改造し、そして宇宙船のコンピュータを自分の頭部に接続出来るようにし、彼女は自身の身体を宇宙船と結合した。
コンピュータはエネルギー格子式量子コンピュータとそれより小型の同式コンピュータを8台繋げている。
そしてダークマター操作力増幅スフィアを両腕に装着して、自身のダークマター操作力で宇宙空間を翔び、流されたコロニーに向かった。
宇宙船の巨大なエネルギー格子式量子コンピュータ群の後部には、宇宙船のエネルギー源である巨大クリスタルや移動用のダークマター推進球が搭載してあった。
彼女は宇宙船内のダークマター推進球も操作しながら宇宙空間を翔んだ。
巨大クリスタルやダークマター推進球の後部には、水タンクや様々な材質貯蔵タンク、農園施設なども搭載されており、それらは循環可能にシステム化されていた。
あらゆる物資や設備を生産出来る工場も搭載されており、コンピュータと連結されて設置されていた。
そしてその後部に空洞が設けてあった。
本来の宇宙船の姿では、元々搭乗スペースであった空洞部が宇宙船の前方であった。
彼女は宇宙船の後端を自身の頭部周りに接続していた。
その宇宙船の前方先端には、全周波数観測装置や光学的観測装置や量子的観測装置などを搭載してあった。
また、エネルギー源である巨大クリスタルに隣接して補助クリスタルが二つ搭載されていたが、それらは戦闘用クリスタルキャノンとしても使用出来るものだった。
流されたコロニーにランデブーした大天使はコロニーの全住民を救助し空洞内に招き入れた。
そして空洞内に住民達の要望を元にした街が建設されていった。
街を建設した区画は、宇宙船の加減速時や方向変更時の慣性力を生活に影響を与えないように緩衝する全方向ダンパー機構が予め設置してあった。
また、街区画の地面はダークマタープレートで出来ており、住民の星系と同じ重力が設定されていた。
そして街はダークマタープレートの両面に造られていった。
宇宙船の中に上下逆の街が二つ、互いの街の足元にもう一つの街が造られたのだ。
宇宙船の船殻は透明だった。
そして部位を指定して不透明になるようにもなっていた。
それを利用し、街の夜には実際の宇宙の光景が街の夜空になった。
朝から夕方にかけては、日時毎に設定された天候に合わせた空の光景が映し出された。
宇宙船内の街はコロニーの時以上の快適な街が造られていった。
大天使の考えでは当初は何処かの惑星に住民達を保護してもらうつもりでいた。
宇宙船内の街はそれまでの仮の街のつもりであった。
しかしながら住民達を受け入れる惑星は無かった。
強襲を仕掛けたのは宇宙の支配種族である“七歳の星”だった。
強襲された星系は、七歳の星や七歳の星に従う宇宙種族で構成された宇宙連合に、逆らう意思を見せ始めていた宇宙種族だった。
七歳の星は逆らう種族を滅ぼそうとしたのだ。
そんな種族を受け入れる惑星は皆無だった。
受け入れればその種族も滅ぼされてしまうだろう。
表向きにはそんな馬鹿なことをする種族はいる筈もなかった。
大天使は極秘裏に受け入れを了承する銀河星団に所属する種族を見つけることを考えた。
銀河星団とは七歳の星や宇宙連合に刃向かう宇宙種族で構成されたレジスタンス組織である。
宇宙連合に参加している宇宙種族達に対して、銀河星団を構成する宇宙種族は数少なかった。
しかしながら銀河星団は潤沢な七歳の星や宇宙連合を相手に永い銀河戦争を苦しみながらも続けていた。
支配種族の闇の支配から宇宙を取り戻す為に戦い続けているのだ。
宇宙連合に属していながら実は銀河星団に物資や資金や武器を密かに流している種族もあったのだ。
七歳の星に従いながらも宇宙の支配からの脱却を望んでいる宇宙種族もある程度存在していたのだ。
しかし、簡単には受け入れを了承する銀河星団の種族は見つからなかった。
永い戦争状態の中で余裕は無かったのだ。
また、密かに銀河星団を応援する種族の中にも受け入れを了承する種族は見つからなかった。
彼らもギリギリの駆け引きの中で銀河星団に援助をしていたのだ。
そして何百年も過ぎてしまった。
街の住民達は宇宙船の巨大コンピュータが運営する街で何世代も生活していた。
街で生まれ育ち、仕事に精を出し、子を産み育て、寿命を全うし、皆、家族を大切にして生きていた。
それは互いを敬い尊厳に満ちた素晴らしい街だった。
大天使は想った。
私はこのまま、この街を護りながら、宇宙空間を彷徨い続けよう。
この素晴らしい街を未来に残そう。
多くの宇宙種族から崇められる存在である大天使と呼ばれる大いなる種族。
大いなる種族は今や古参種族として個体生存数が残り少なくなり、如何に宇宙の未来の為に貢献出来るかを各自考え、様々なことを実践している。
今私は大天使としてすべきことをやっと見つけたのだ。
宇宙はいつか支配から解き放たれる時が来るだろう。
その時まで私はこの街を護り続けていきたい。
それは遠い遠い未来かもしれない。
それでも未来に希望を持つのだ。
支配という闇を抜け、いつか光を届ける為に。
あの美しかった宇宙を取り戻す為に、今出来ることは、宇宙を翔け続けることなのだ。