mechanical pencil,
acrylic,
illustration board 26×18×0.2cm(B5)
2022年
《物語(Story)》
【ドラゴン宮殿(The Dragon Palace)】
今日も一日が始まった。
今日は夕方までに大陸の西の方にある湖まで行こうと想う。夜明けと共に目覚めたうちのドラゴンも元気に西へ向かって駆けている。
私が住んでいるのは、ドラゴン宮殿と呼ばれている邸宅。60✕40m位の結構大きなものだ。船や飛行機も完備されている。
ちょっと変わっているのは、ドラゴンの背中に乗っているんだ。体長240mもあるドラゴンの背中が平らになっていて、そこに邸宅があるんだ。ドラゴンは巨大な半球に頭と脚と尾を生やした感じの形をしているんだ。
今、邸宅を乗せたドラゴンが西へ向かって走っている。
揺れるだろうって思うだろ。でも、そんなことはない。揺れを相殺する設備が設置されているから、殆ど揺れや振動を感じないんだ。上手く出来ている。たまに大きな加速度が掛かかったときに僅かにGを感じるときはある。ドラゴンが凄い急停止をしたときなどに。でもそんなことは滅多にないけれどね。
ドラゴンは夜は寝るよ。寝るときは脚を畳んでしゃがんだ姿勢で寝るんだ。腹を地面に着ける感じでね。ときどき寝息がうるさい時もあるかな。まあ、邸宅の中は防音が効いてるから静かだけどね。
このドラゴンは、造られた生命体なんだ。背中に家などを乗せる目的で設計されたんだ。たまに食物を食べるときもあるけど、基本的には空間エネルギーを直接取り込んで生体エネルギーとしているんだ。喉から尾の付け根にかけて腹に2列に並んでいる吸収口から取り込むんだ。時空間自体に織り込まれている次元のエネルギーってやつだね。人にもいるだろ、そういうことが出来る人が。
このドラゴンは、この惑星の大昔の伝説を思い描きながら、設計されたらしいんだ。
それは、こことは別の、無数の丘が連なる大陸に伝わる伝説なんだが、“ドラゴンの上の王国(Kingdom ON The Dragon)” という伝説があるんだ。
翼を持つ巨大なドラゴンの背の上に築かれた王国なんだ。周期的に永い眠りに着くドラゴンだったらしく、眠りに着いている間にドラゴンの首や脚や腕や尾や翼の上にまで城下街が造られたそうなんだ。
伝説のドラゴンとは規模も違うし翼も無いが、それと同様にドラゴンの背に家を乗せるという目的で生み出された生命体なんだ。
それをひょんなことから私が所有することになった。今ではとても居心地が良いお気に入りの住まいさ。
湖に着いたら船を降ろして湖面に浮かべよう。
その前にドラゴンを気ままに泳がせようかな。このドラゴン、水に浮くようにも設計されてて泳げるんだ。きっとドラゴンも楽しんでくれると想う。
今から楽しみだ。
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※リンク(Link)
→ドラゴンの上の王国(Kingdom ON The Dragon)
制作中(In production)