ーHare's worldー 晴れ(Hare)が紡ぎ出す絵と物語 宇宙の生命、それらが憧れる地球の女神 魅惑の世界が広がる Arts and stories spun by Hare. Lifeform in the universe, the goddess of the earth that they yearn for, the fascinating world spreads

風船鳥 バルーンバード(Balloon bird)

風船鳥 バルーンバード

mechanical pencil(シャープペンシル),
acrylic,
illustration board 26×18×0.2cm(B5)
2023年



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Artwork related to this artwork

※リンク(Link)
黄金のクリスタル(Golden Crystal)

羽虫 マゼンタフレア(Winged insect Magenta flare)


《風船鳥 バルーンバードについて(Regarding Balloon bird)》

クリスタル採掘場におけるクリスタル運搬用に遺伝子操作して造られた鳥。
全長12m程、風船の直径6m程。
背部に大きな風船が設定されており、風船の根本の背部に埋め込まれたクリスタルによって風船の内部の熱交換を敏速に行うことで、垂直に上下移動が出来る。また、左右の翼と尾羽により前方に角度を付けた動きや左右の方向転換が出来る。
風船は内部の熱交換により膨らんだり萎んだりする。
クリスタルエネルギーを受けることで彼ら自身も暖まることが出来る暖房器となる。
風船の模様が個体毎に異なっている。
後頭部の後ろにヒューマノイドが搭乗する場所が造られており、生物的なキャノピーがある。
両眼の間に、暗闇の中でクリスタルの場所を見極める為のドーム形状のエネルギー観測器官がある。
脚は6本あり、前の2本でクリスタルを掴み、首や下腹部から出ている触手の様なものでクリスタルを器用に絡める。
喉元に4枚のエアブレーキがあり、顔方向に開くことで飛行速度を落とすことが出来る。
6本ある脚のクリスタルを掴んでいない後ろの4本で着地する。

知的生命体であり、思念交流で会話が出来る。
天然クリスタルに覆われたクリスタルの星に生息している。
このクリスタルの星は昔はクリスタル採掘が盛んだったが、規格品のクリスタルが工場で生産される現在は誰も見向きもしないようになり、棄てられた星である。
彼ら風船鳥達はクリスタルの星と伴に棄てられた種族。
現在は採掘場付近で群れで生きている。


《物語(Story)》

【風船鳥 バルーンバード(Balloon bird)】

ああ、行っちゃったなあ
でも、今日は楽しかったなあ

皆も、久し振りに宇宙種族達に逢ったことで、地上へ向かいながら騒いでいる。
僕も宇宙種族を頭に乗せたのは本当に久し振りのことで、楽しかった。
黄金のクリスタルを見て本当に嬉しそうだったなあ。本当に良かった。

宇宙種族達と一緒にクリスタルを採掘していた頃、あの頃は本当に楽しかったなあ。
宇宙種族を頭に乗せて採掘場のトンネルを背部のバルーンを膨らませながら暖かくして降りていく。
僕らはいつもワクワクしていたなあ。
宇宙種族もワクワクしていたと想う。
暗い広い空間の中で仄かに輝くクリスタル達。
素晴らしいエネルギーを放つクリスタル達。
クリスタル達は動けないけど生命体。
クリスタル達も外へ出られることを喜んでいたんだ。
知らない所へいくのをクリスタル達も望んでいたみたい。
宇宙種族達はいつもわいわいガヤガヤ楽しそうだったな。

宇宙種族達がこのクリスタルの星から居なくなって、もう150年くらい経つだろうか。
僕らを造り、育て、クリスタル達を採掘して、毎日一緒に働いていた宇宙種族達は、ある日突然に採掘を止めた。
それから、今まで採掘したクリスタル達を運搬していた宇宙船に、大勢の宇宙種族達が乗っていった。
少しだけ残った宇宙種族達も暫くして皆居なくなった。
それ以来、誰もこの星には来なかったと想う。

僕らの寿命は結構永い。
元々寿命の永い一部の宇宙種族達が、医療技術や生体エネルギー向上術や思念療法などで更に永くした寿命ほどではないが、一般の宇宙種族達よりはずっと永いと想う。
大きな怪我で死んでしまった友達はいたけど。

宇宙種族達が居なくなってから、僕らは僕らだけで生きてきた。
採掘しない日々は最初は変な感じだった。
何もすることがなくて、皆ただ喋って騒いでいた。
食べ物はそれまでと同じで、食物プラントが食べ物を出してくれていた。
でも何十年かして食物プラントは故障してしまった。
そこで僕らは初めて食物プラント以外の食料を探すことになった。

それからだった。この星に色々な生命体達が居ることに気づいたのは。
色々な動物達。色々な植物達。クリスタル以外の色々な鉱物達。
この星にはこんなに生命体達が溢れていたんだと初めて知ったものだった。

僕らは、採掘場跡地を家としながら、色々な所へ行ってみた。
毎日が楽しい日々だった。
150年ほど経った今も楽しさは変わらない。

そして今日、彼らの宇宙船がやって来た。
彼らは本当に久し振りに逢った宇宙種族。
七歳の星の種族は、昔採掘していた頃に何度か見たことがあった。あれは視察というものだったのだと想う。
でも今日の彼はその時の人達とは何か違ってたな。何というか暖かいというのかな、恐くない感じだったな。
昔も頭に乗せたことがあったけど、エネルギーの感じが全然違ったな。昔の視察の人はピリピリと痛いエネルギーだったけど、今日の彼は涼しいエネルギーだったな。心地よかったんだ。
猫型宇宙種族は初めて見た。結構大きいんだなと想った。2m以上あった。
ワニ型宇宙種族は昔一緒に採掘していた仲間の中にもいた。昔の人も威勢が良かったけど、今日の人もやっぱり威勢が良かった。ワニ型宇宙種族は皆そうなのかな。
女性ヒューマノイドは昔も一杯いたな。今日の彼女も知的で優しそうだったな。
背の高い男性ヒューマノイドは初めて見た。男性ヒューマノイド自体は昔も一杯いたけど、あんなに背の高い人は初めて見た。猫型宇宙種族と同じくらいの背だった。笑顔の涼しげな感じが良かったな。

何だか、本当に懐かしくて、楽しくて、嬉しくなってしまった。
地上へ降りていく皆のはしゃぎっぷりを見ていると、僕と同じなのだろう。
でも何だか寂しくなってきた。
行ってしまったんだなって。

でも、彼らは僕らに情報閲覧装置をくれたんだ。
今日はきっと皆で色んな情報を検索するんだろうな。
皆で取り合いになっちゃうのかもな。
まあ、順番を決めて喧嘩しないようにしないとな。

また来てくれると嬉しいな。
彼ら、皆、暖かい感じの人達だったな。

棄てられたクリスタルの星の上空。
見下ろす青い海。
その中心にある岩だけの茶色い島。
その島に向かって僕らは降りていく。
楽しい毎日。
でも今日は少しだけ、寂しくて懐かしい。
そして暖かい気持ち。


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