![広報艦(統合軍所属)[構造説明図]](https://hare-sasaki.com/wp-content/uploads/2026/07/Polish_20260715_031008863-scaled.jpg)
mechanical pencil(シャープペンシル),
acrylic,
illustration board 13×18×0.2cm(B6)
2026年
《広報艦(統合軍所属)(Public Affairs Ship (Assigned To The Unified Command)》
内戦状態にある或る惑星における、各軍を束ねた統合軍の司令部直属の広報艦。
統合軍司令部は膠着状態が続く戦況の中で兵の士気を保つ為に、エレガント レディ専用の広報艦を就艦させた。
エレガント レディとは誰もが知っていてその歌声に魅了されているフローター種族の女性であり、軍は彼女を広報担当官としてオファーした。
彼女は広報士官と広報下士官二人の三人の乗組員と伴に、この広報艦にて多くの宇宙艦や海上艦船等を慰問している。
[諸元(Specifications)]
・全長(Length):35m
・全幅(Width):12.5m
・全高(Height):12.5m
・前方部高(Front Height):10m
[広報スクリーン(Public Relations Screen)]
広報艦の船殻の表面に広報映像を映す。
[船殻の広報スクリーン設置場所]
・船首前面、船尾後面、船底下面、船側側面~上面
[レーダー/センサー及び通信システム(Radar / Sensors, And Communication Systems)]
船首の上部左右に纏められて設置されている。
[フローター ルーム(Floater Room)]
艦の中央部にエレガント レディ専用の部屋が設置されている。
・フローター ルームの左側下方後部にハッチが設けられている。
[乗組員ルーム(Crew Room)]
広報士官/広報下士官(Public Affairs Officer/Public Affairs NCO)用の部屋。
・艦の後部に3部屋の乗組員ルームが並んで設置されている。
・3部屋共にフローター ルームと乗組員ルームとの間の通路に面しており、通路の左端に乗組員用のハッチが設けられている。
・ハッチの足元から他の宇宙船へ乗り込む為の桟橋が伸びる。
[エレガント レディ専用広報艦の乗組員(Crew Of The Public Affairs Ship Exclusively For Elegant Lady)]
①広報士官(男性)
②広報下士官(男性):主に操縦士を任されている。
③広報下士官(女性)
[操縦室(Control Room)]
艦の後方上部に操縦室が設置されている。
・フローター ルームと乗組員ルームとの間の通路の中央部天井にハッチが設置されており、通路中央部フローター ルーム側の壁に設置された梯子で出入りする。
・操縦室の前面は操縦用壁面センサーが設置されている。
・艦の上面中央部から前部に設置された情報処理伝達部により、クリスタル(武器及び艦運用エネルギー源)とレーダー/センサー及び通信システムと操縦室が繋がっている。
[クリスタル(Crystal)]
艦運用エネルギー源(Ship Power Source)として設置されている。
・艦の武器であるクリスタルキャノンとしても使用される。
<クリスタルキャノン(Crystal Cannon)>
・キャノン数(Number of Cannons):1マインド(mind)
[倉庫(Warehouse)]
艦首の下部に水/食料/資材等の倉庫が設置されている。
・倉庫の左側後部にハッチが設けられている。
[推進システム(Propulsion System)]
・ダークマター推進(Dark-Matter Propulsion)
<ダークマター推進球(Dark-Matter Propulsion Ball)>
・3m球(Ball):2球(balls)
・2m球(Ball):3球(balls)
《物語(Story)》
【“エレガント レディ”と呼ばれるフローター~広報担当官として戦艦を慰問する~(A Floater Called “Elegant Lady”~A Comforting A Battle Ship As A Public Affairs Officer~)】
彼女は他のフローターとは違い、特別だった。
その振る舞い、身のこなし、言葉、そして歌声。
総てが別格だった。
そして外観もまた特別だった。
フローターとして初めて衣服を装ったのも彼女だった。
カラフルで且つさりげない装いが皆の注目を集めた。
彼女は、“エレガント レディ”という愛称に相応しい女性であった。
種族を越えた称賛。
外観の全く異なる相手への理解。
理屈ではなく感性で感じる感情。
宇宙ではとても少数派の我々ヒューマノイドにとって、彼女達を熱狂的に迎えることは、ある種の覚醒とも云えることなのかも知れない。
「本日の正午にエレガント レディがこの艦を訪れる。私と副艦長と各部門の部門長が甲板にて出迎える。その後、皆を集めて甲板にて彼女のコンサートが行われる。皆、彼女の素晴らしい歌声を楽しんでくれ。」
早朝の艦内放送で艦長がそう告げる。
今日はあのエレガント レディがこの艦に来るのだ。
この通達が我々の戦艦に伝えられた日から艦内は彼女の話で持ちきりなのである。もう10日に渡って皆待ちきれない想いなのだ。
彼女はとても有名だ。
会ったことがあるという者は少ないかもしれないが、誰もが一度は映像などでその姿を見たことはあるだろう。そして彼女の歌も聴いたことがある筈だ。
この艦の乗組員も多分全員が彼女のことは知っているだろう。
そんな有名な存在がこの艦を今日、慰問するのだ。
何だかいつもと違って皆そわそわしている様に見える。
艦内が落ち着きなく慌ただしく感じる。
俺も何度となく時計を見てしまう。
もうすぐ正午なのだ。
いつもと変わらず落ち着き払っている様に見せようと頑張っている艦長が、時計から目を離して副艦長に声を掛けて、二人でハッチを開けて艦橋を出ていった。
俺もその後を追う。
甲板に5名が並び、同じ方向を見つめている。
エレガント レディは自分で浮遊して艦へやって来た。
その後ろを軍の広報艦が彼女を護る様にこちらへ近づいてくる。
広報艦は小型艦ではあるが、彼女の部屋もあり、何不自由なく過ごせる様になっていると訊く。
彼女は我々の艦の前で広報艦から出るのではなく、ずっと手前から自分で浮遊して我々の艦を訪れるという演出をしているのだと気が付く。
甲板で簡易的な歓迎式が行われた。
一列になった艦長や副艦長や部門長達がエレガント レディと付き添いの広報艦の士官達を出迎える。
艦長が訪問に対する謝辞を述べると、エレガント レディは誰もが魅了される声でこの艦への招待に御礼を言いコンサートへの期待を伝えた。
俺はエレガント レディの慰問に合わせて記録係を任命された。
エレガント レディの慰問を映像に記録してまとめる様に艦長から命じられたのだ。
通常の私は情報観測官として艦橋内で任務をこなしている。
宇宙空間の戦況を観測し情報をまとめて宇宙船の戦略を立てる為のエビデンスを与えるのだ。
そのスキルを買われて慰問の記録係を任されたのだろう。
だから私も艦長と副艦長の後を追って艦橋を出たのだ。
甲板は太陽の日差しを浴びて眩しい。
我々の宇宙船は雲海の上に停船している。
風は吹いている筈だが、今は甲板の縁には全周に渡って高さ6mの透明フェンスが立てられていて風は甲板には到達しない。
エレガント レディと呼ばれる彼女は我々の様に直立した状態で身長5m程である。
だから大き過ぎて艦内に入ることは出来ない為、甲板でコンサートが開かれる予定になっている。
甲板にはイベント用のテントがコンサートの為に設置されている。
乗組員全員が彼女を見たいだろうが、艦内にそれ程の人数が収用できる部屋は無い。だから彼女が艦内に入れたとしても結局は甲板でコンサートが開かれることになっただろう。
高さ6mの透明フェンスの一部が2.5mまで下げられており、慰問客を迎える準備がされている。2.5mまでなのは甲板への風の吹き込みを最小限にする為であり、その状態でエレガント レディを迎える。
広報官を迎える時だけは0mに下げる筈だ。
浮遊してこの戦艦への慰問にやって来たエレガント レディは、その透明フェンスの下げられた部分から浮遊した状態で甲板に入る。
彼女は衣服を纏って浮遊している。
様々な色彩に彩られた上着を羽織っている。
その下で腕に似た二本の筒が長い袖の服に袖を通している。
後ろへ伸びた二本の筒も衣服に包まれている。
そしてその二本の筒を下方へ向けながら、頭をこちらへ向けたまま身体を下へ折り曲げる様にして二本の筒の先端を更に前に曲げて甲板に設置させた。
彼女の後を付いてきていた広報艦が、戦艦の甲板の高さに合わせて横付けする様に停船した。
広報艦の船殻の表面は広報スクリーンになっており、エレガント レディの写真や映像が映されている。
広報艦のハッチが開き桟橋が伸びてきて戦艦の甲板の端に架けられる。
そして二人の広報官が桟橋を渡ってくる。
広報官達は甲板に足を掛ける。
甲板には、彼らが足を掛けた場所から透明フェンスの下げられた部分まで、通路を造る様にポールが伸びていて並び立っている。
甲板に立つ彼女は広報官が到着するのを待ちながら、一列に並ぶ艦長や副艦長や部門長達を印象的な瞳で見つめている。
エレガント レディはフローターと呼ばれる種族である。
フローターは元々はこの惑星の住民である我々の遥か祖先に造られた種族であるが、現在は一つの宇宙種族として独立している。
彼らは通常、我々を体内に乗せて惑星中を移動する役目を得ている種族である。
旅の乗り物として契約を交わし、我々を乗せて目的地まで連れていくのだ。
彼らは、体内で発生させる気体で惑星内を浮遊して、気体を吹き出すことで移動するのだ。
彼らの通常の外観は10m程の小さな船の様な感じだ。そして皮膚は透明で体内が透けている。
しかし彼女は通常のフローターとは違う。
彼女は多くの他の宇宙種族の様に、直立した状態に成れるのだ。
だが実際に立っている訳ではない。
脚で立っている様に見えるが、脚に見えるものは気体噴射口及びサブスタビライザーであり、浮遊移動の推進ノズル及び浮遊移動している時の姿勢の安定を図るものである。
だから今甲板で立っている様に見えるのも、実は先端を足の様に曲げた気体噴射口を甲板に触れさせて身体を浮遊しているのだ。
そう、彼女に限らずフローターという種族は、睡眠中も含めてほぼ常に浮遊しているのだ。
因みに腕の様なものはメインスタビライザーである。
腕の先端は5つに別れていて我々の指の様に動くらしい。
また、彼女は他のフローターに比べ身体が小さい。
先程も言ったが、通常のフローターの全長は10m程。
彼らの最後尾にはセンサーの役目を果たす尻尾の様なものが付いているが、それは気圧や成分などの大気の状態を感知するものであり、そのセンサー尾を含めて10m程だ。
もし他のフローターが彼女の様に直立できたとしたら、その時の身長は7m程だろう。直立した時は頭を折り曲げ、センサー尾が後ろに向けられるからだ。
彼女は今の直立した状態で5m弱であり、船の様な姿勢になった時は7m程ではないだろうか。
彼女は他のフローターに比べ、一回りかそれ以上に小さいのだ。
彼女はその小ささ故に、我々の大人を乗せることが出来ず、子供しか乗せられないのだ。
彼女はそれをコンプレックスに思っているらしく、他のフローターより目立てることを探したらしい。
そして他の宇宙種族の様に直立することを思い付き、それを実践した。
また、衣服を纏うという他のフローターは誰もしていないことをするようになった。
彼女はフローターの中で目立つ様になっていった。
それは目立つというよりは奇異な目で見られているという方が正しかった。
そしていつしか彼女のこの行動は、我々の間でも話題になり始めた。
彼女のその立ち振舞いと着こなしから、我々からはエレガント レディと呼ばれる様になっていった。
目の前に浮かんで立つ彼女は衣服の着こなしもエレガント レディという呼び名に相応しく美しい。
本来フローターは腹にある器官に気体を溜める為に腹が膨らんでいるが、今の彼女にそれはない。
きっと見た目を考えて凹ませているのだろう。
それを考えると、彼女は色々なことを気にしており、自分がどうあるべきかを常に考えているのだろうと推測できる。
現在、我々の惑星は内戦状態にある。
そして膠着状態が続いており、平和時に比べれば当然に人々は殺伐としているが、悲惨さや悲観さは薄らいでいた。
我々の軍部は兵の士気を保つ為に色々考えたのだろう。
今では誰もが知っていてその歌声に魅了されているエレガント レディに、軍の広報担当官として働くというオファーを持ち掛けたらしい。
そして彼女はそのオファーを受け入れて、こうして軍の各宇宙船を訪問して回っているのだ。
彼女の歌声は素晴らしい。
フローターの声というのは元々美しい。
それは声を発する時に種族の特徴である浮遊する為の気体を喉に送っている為であり、うっとりする様な魅了される声なのだ。
彼女は、その気体を最大限に使って歌を歌うということを極めているのだ。
その歌声の噂は瞬く間に惑星中に拡散していった。
今では誰もが彼女を知っていて、誰もが彼女の歌声に魅了されているのだ。
彼女の宇宙船への訪問は大気圏内で行われる。
それは彼女の歌声を聴くには甲板で行われる必要がある。甲板で彼女の歌声を聴くには大気が不可欠だからである。
そして彼女は大きくて艦内には入れないのである。
また乗組員全員が聴くには甲板で行う必要があるが船外服では…。
と、大気圏で彼女の慰問が行われる理由は多々ある。
昨日まで宇宙空間で待機していた我々の宇宙船は、今日は大気圏へ降下をしてきた。
勿論、彼女の歌に魅了される為に。
《この構造説明図に関連するアートワーク(Artwork related to this structural drawing)》
《この構造説明図に関連する構造説明図(Structural drawing related to this structural drawing)》
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《“フローター”を描いたアートワーク(Artwork depicting “Floater”)》
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