
acrylic,
canvas 33×24×1.5cm(F4)
2026年
《このアートワークに関連する構造説明図(structural drawing related to this artwork)》
※リンク(Link)
→ザ クリスタルタワーー再生の惑星ー[構造説明図](The Crystal TowerーThe Planet of Rebirthー[structural drawing])
《物語(Story)》
【ザ クリスタルタワーー再生の惑星ー(The Crystal TowerーThe Planet of Rebirthー)】
何度もここを訪ねたが、その度にとても哀しくなる。
見渡す限り何もない荒涼とした大地の中に聳え立つ、クリスタルの塔。
この塔は根本から先端まで一つのとてつもなく大きなクリスタルで出来ている。
高さ2000mのクリスタルタワーなのである。
何度ここに来ても、この巨大なタワーは何も語りかけてこなかった。総ての大陸が砂漠と化したこの星の寂れた風景と相まって、本来輝いている筈の巨大クリスタルは暗く陰りエネルギーを失ってしまった。
銀河でも抜きに出て栄えていたこの星は、この巨大なクリスタルタワーが放つエネルギーに常に包まれ、他の星々が羨む程の繁栄を謳歌していた。
だが、この星は突如として没落した。
突然にクリスタルがエネルギーを発しなくなった。
クリスタルのエネルギーを失い、エネルギー循環のバランスを崩したこの星は、直ぐに大地は砂漠と化していった。そして海は干上がっていった。
私は今日もここに来た。
クリスタルタワーの天辺。
宇宙船から一人用のオーバルフローターで飛び出し、タワーの先端に繰り出した。
このオーバルフローターは私専用と言っても良い。フローターの中で立つと私の頭と天井との隙間は15cm程しかなく、身長120cmの私にピッタリなのだ。船の仲間にとっては乗り込むのにも苦労するどころか、女性ヒューマノイドは何とか乗り込めるが他の仲間はフローター内に身体が収まらないだろう。
私はオーバルフローターの中で2000m上空からタワーを見下ろす。
そしてオーバルフローターのハッチを開け、身を乗り出して、手のひらをクリスタルにかざしてみる。
オーバルフローターがクリスタルに近づいているときから気付いていたことだが、クリスタルはとても涼しいエネルギーを放っている。
今日の私の心は喜びに満ちている。眼は輝き顔は笑っているのだろう。
当時の涌き出るようなエネルギーとは比べ物にならないくらいの弱いエネルギーではあるが、確かに光のエネルギーを放っている。
そして、見下ろす大地にその証が刻まれている。
タワーを中心に、緑の輪が拡がりつつある。クリスタルのエネルギーを受け植物が育ち始めている。
ああ、巨大クリスタルは再度生きることを決めたのだ。
何と素晴らしい。
この星は、かつての繁栄の末、他の星へ侵略を試みようとした。
この巨大なクリスタルタワーを超巨大クリスタルキャノンとして使おうとしたのだ。
そして、クリスタルはそれを嫌がり、自らの命を絶ったのだ。
そして同時にこの星は滅びた………
私は思念でクリスタルに話しかけてみる。
僅かに空気が震える。クリスタルが反応している。
私は彼に告げる、”ありがとう” と。
彼は答える。
“ああ、もう一度感じたいんだ。皆との幸せを”
“もう一度、この星の喜ぶ声が聞きたいんだ”
彼は泣いていたと想う。
私にはそう感じた………
そして私の眼も潤んでいた………