mechanical pencil(シャープペンシル),
watercolor pencil,
acrylic,
illustration board 26×18×0.1cm(B5)
2018年
この絵は『Left Bridge』に描かれている”Humanoid”と”Walker”と”Guide”を描いたものです。(『Left Bridge』の○部分)
This artwork depicts “Humanoid” and “Walker” and “Guide” drawn on『Left Bridge』.(○parts of artwork『Left Bridge』)
“Left Bridge”を描いたアートワーク
Artwork depicting “Left Bridge”
※リンク(Link)
→Left Bridge
“Left Bridge”と一対の絵“Right Tower”を描いたアートワーク
Artwork depicting “Right Tower” which is a pair of “Left Bridge”
※リンク(Link)
→Right Tower
→By the light of “Right Tower”
《物語(Story)》
【Under the “Left Bridge”ーWith Walker and Guideー】
ガイドを従えWalkerに乗って砂漠を歩き、もう5日になるが、まだ橋は見えない。嵐になって3日間、前は何も見えず、ガイドのお陰で砂に殴られずにいる。
Walker の3本の脚が実に見事に、砂に埋まる前に次の脚また次の脚と動いて歩き進んでいる。
嵐になって7日目の明け方、唐突に前が開け海へ出た。
急に空間を感じた為、遠近感が変で目がついていかない。感覚を取り戻し始めた目が、海の上にあるものを捉えた。
何だ、あの塔の列は?
そして更にその上のものに気が付き、眼を向ける。
凄い光景。
そこには人が居た。
まさかこれ程大きな人が居るのかと、以前の港に次いで再び目を疑う。
そして本当に左半身しか無いと思いながら、Floaterと旅した時のことを思い出していた。
あのTower を見た時にここに来ることを決めたのだ。あれから5年、砂漠の橋の情報を集め、やっと有力な話を聞いたのがつい1ヶ月前のこと。直ぐに旅の準備を始め、今ここにいる。
ガイドの話では、研究者達が彼女の知識を得る為、彼女の身体の中に研究所を造っているらしい。
ここは砂漠と海に囲まれ、私の様に砂漠の嵐を抜けて来るか、大海を渡って来るしかない。
私は9日掛かったが、海は1ヶ月以上掛かるらしい。海流の為に易々とは近づけないという。
あとは海岸伝いに行けば良い。
しかし、この海岸は砂漠と同じで、水を含んでいるにも関わらず、足が沈み込んでしまいそうだ。
先程からWarkerはずっと足踏みをしている。
私は海岸を歩きながらガイドに尋ねた。
「橋の頭の下の紅い球は何なんだ?」
『あれはブラックホールです』
「ブラックホール?」
『そうです。極小のものが頭から落下したらしいです。眼を巻き込んだまま留まっているらしいです』
「この橋は何なんだ?」
『橋は研究所なんです。わたしの種族も橋で造られました。ここへ行き来する為にです』
「あの中に人が住んでいるっていうのか?」
『はい』
「こんな大変な思いをしていつも、あそこの連中はやって来ているのか?」
『初めの頃は線路が敷かれていましたが砂で数ヶ月も保たないのです。』
「Warkerもここで造られたのか?」
『彼は他の星から連れて来られて改造されました。確か先祖は人を載せる様にはなっていません。』
私は何かすっきりしないものを感じながら彼らと歩き続けた。
「何であそこの連中はこんな所に研究所を造ったんだ?」
『彼女がここに居たからです』
「はあん?」
『ここに居た彼女の身体を利用して研究所を造ったのです』
「何で?」
『彼女の知識が欲しいからです』
「まさか、あの中で脳味噌が生きているっていうんじゃないだろうな」
『はい、生きています』
「連中は何をしているんだ?」
『さあ、わたしもそこまでは解りません。でも街に行けば何か解るかも知れません』
「街があるのか?」
『はい。研究者たちが暮らしているドームと、首の下に小さな街があります』
「何で首の下にあるんだ?」
『首から廃棄物が捨てられるのです。そこに住み着いている人達が居まして』
と何故かばつの悪そうな顔をした。
「じゃあ、先ず首の下の街に行ってみるか」
返事が無いのが気になったが、先ず街に行ってみることにした。
街に近づくにつれ、橋の頭を見上げる形になり、その大きさに鳥肌さえ立つ。
頭は1km上空にあるのだ。なのに人の頭がこれ程までに大きい。
もう直ぐ橋の足の方から朝日が昇り始める。
身体の切断面の鏡の、直ぐ下に漂っている蒼く光る雲の様なものが、朝日によって紫色に滲み始める。
雲かと思い見ていると、液体が垂れている様になっている所が至る所ににあり、
この蒼いものは何なのかと思い始め、ガイドに聞いてみた。
『研究所の発電施設です。鏡の近くが集光の効率が良い為、あそこに設置されています』
再び頭の方に目をやると、頭以上に、その下の紅い球が更なるインパクトを持って視界の大部分を占める様になってきた。
「大丈夫なのか、このブラックホールは」
『何故か安定しています。100年以上このままです』
「100年?」
『そうです。あの眼は100年間、身体の劣化についていかず瑞々しいままです』
「事象の地平線の間際だからとでもいうのか」と、にやにやしながら言う。
『その通りです』
『あの触手といいますか神経を見て下さい。全く動いていないでしょう』
『…いえ、すみません。正確には全くではありません。今は1年に100mmくらい動くみたいです』
「はあ、100mm…なるほどね」
と言いながら、その馬鹿でかいインスタレーションの様な光景を見ながら、その異様さに愕然とする。
「100年間このまま…ね…」
「あっ今、首の根元が光ったが」
『もう直ぐ研究者が廃棄物を落とすはずです』
首から桟橋の様なものが伸びて来て、その先端に人が居る様だ。そして先端から何かが落とされた。
頭は首から切り離されて100mほど離されている。その胴体側の切り口から廃棄している。
ちょうどその下に小さな街があるのが見える。
その後方には透明のドームがあるのが見える。あれが研究者達の住居らしい。