ーHare's worldー 晴れ(Hare)が紡ぎ出す絵と物語 宇宙の生命、それらが憧れる地球の女神 魅惑の世界が広がる Arts and stories spun by Hare. Lifeform in the universe, the goddess of the earth that they yearn for, the fascinating world spreads

アンブレラ ガールー12歳の想い出ー(Umbrella girlーRemember when I was 12ー)

アンブレラ ガールー12歳の想い出ー

mechanical pencil(シャープペンシル),
acrylic,
illustration board 26×18×0.2cm(B5)
2023年



このアートワークに関連したアートワーク
Artwork related to this artwork

※リンク(Link)
ルーフ レディー紫外線遮蔽光システムー(Roof ladyーUltra violet rays shielding light systemー)


《物語(Story)》

【アンブレラ ガールー12歳の想い出ー(Umbrella girlーRemember when I was 12ー)】

私は7年前まで外に出ることはなかった。
夜に庭に出たことはあったけど、昼間はそれもなかった。近所には夜に母か父と一緒に連れられて何度か出掛けたくらい。
昼間は本当に外出したことがなかった。
私は生まれつき肌が弱く、紫外線で皮膚がやられてしまうんだ。

でもある日、父が変な機械を私にプレゼントしてくれたんだ。
何でも知り合いの発明家に頼んで造ってもらったのだとか。
それはその頃の私の拳ほどの大きさの黒いボールが中心に付いた円盤状の機械だった。その機械はスイッチを入れると浮かんだんだ。そして私の頭の上まで移動して浮かんだまま止まったんだ。私が歩いても走っても頭の上から離れなかった。常に私の頭の上に浮かんでたんだ。
私が面白がってはしゃいでいると、父が、そのまま外に出てみないか と言ってきたんだ。
私はビックリしたよ。だって、昼間だよ、それまで一度も外に出たことがなかったんだ。学校にも行けなくて、家に家庭教師を呼んで勉強してたくらいだったんだ。
私は、嫌だよ と言ったと想う。
それでも父は、一緒に外へ出よう と言ってきたんだ。
だから私は、少し父に怒りながら、恐る恐る父と一緒に外へ出たんだ。
外へ出た瞬間に、頭の上に浮かんだ機械が幾つもの脚を伸ばしたんだ。そしてその脚の間を埋めるように光の膜が張られたんだ。
それはまるで光の傘だった。

不思議だった。日の光が当たっても身体が全く痛くないんだ。
小さい頃、家の中を走り回って、ふとした弾みに外へ出てしまった時のことは今でも忘れられない。皮膚が元に戻るまで何ヵ月も掛かってしまったんだ。
その前に一度、同じ様に大変なことになったらしい。それは母が私を産んで病院を退院した時らしい。病院の玄関を出た途端、私が泣き喚いたらしいんだ。そして見る見るうちに顔や手が赤くなっていったらしい。その時も治るまで大変だったって言ってたな。
その時以来、父は密かに何とかしてやりたいって想ってたんだって。そう言えば傘の様な機械を持って私に見せに来た時、父は本当に嬉しそうな笑顔だったな。
私はその機械のお陰で昼間に外に出られたことに本当に驚いたんだ。

それから私は、昼間でも家の庭に出て遊ぶようになった。
いつも頭の上には機械が浮かんでた。
日の光を浴びて咲き誇る花々を近くで観ることがこんなに素晴らしいんだと知った。外で走り回ることがこんなに楽しいんだと知った。

父か母か誰かと一緒ならば、昼間でも近所にも出掛けることを許された。
近所の友達の家にも遊びに行った。
その頃は近所だけだったけど、本当に嬉しかった。

でもまだその時は外に出られるのは短時間だけだったんだ。
傘の様な機械の、光の膜の紫外線遮蔽性能が完全じゃないらしかったんだ。

その頃から私を知る人は、私のことを“アンブレラ ガール”と呼ぶようになった。
実は今でもそう呼ぶ人もいる。最初に家に遊びに行った友達は今では親友なんだけど、からかいながら今でもそう呼ぶときがある。そう言えばその友達の母親もこの間そう呼んでたな。
そんなときは私は苦笑いするんだけどね。
今のルーフ レディっていうのも、そんなに好きではないんだけどね。でも仕方ないなぁって想ってる。
これがないと何処にも行けないからね。
それに、有り難いって想ってるんだ。
傘の様な機械も有り難かったけど、この屋根は紫外線遮蔽性能が完璧だからね。
遠い所にでも外出出来る様になったし、本当に感謝してる。
友達も沢山出来たし、この間みたいにお祖母ちゃん家にも一人で普通に行けるし。
だから傘も屋根も、私にとって本当に大切なものなんだ。
そして、父にも母にも本当に感謝してる。いつも私のことを想っていてくれてるんだなぁって。


《このアートワークについて(Regarding this artwork)》
【ルーフ レディー紫外線遮蔽光システムー(Roof ladyーUltra violet rays shielding light systemー)】を描いている時、ルーフ レディが傘のようなものを頭上に浮かべた姿が心に浮かんできた。
屋根ではなく傘を頭上に浮かべた姿。
これはルーフ レディの少女時代の姿なのだと気づき、ルーフ レディと同時にアンブレラ ガールを描くことにした。
そして少女時代のついての彼女の想いが私の心に流れ始めた。
私は彼女の想いを書き留めていった。
その後、ルーフ レディとアンブレラ ガールは同時に描き上がった。

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