mechanical pencil(シャープペンシル),
acrylic,
illustration board 18×26×0.1cm(B5)
2023年
《物語(Story)》
《幽玄の世界(The Yugen World)》
【タウントレイン [第一話]:淋しげな瞳(The Town Train [The first episode]:Lonely Eyes)】
彼女はこの列車で独り暮らしをしている。
果てしなく走るこの街で何かを求めているのだろう。
彼女の心には常に淋しさが木枯らしのように吹いているようだ。一人でいる彼女の表情はいつもその心を映すように淋しげだ。だが落ち込んでいるとか苦しいとかそういう感じではない。どこかそういうものは吹っ切っている感じがするのだ。
挨拶を交わしたり会話をしているときはとても優しい笑顔を見せてくれる。でもいつもどこか淋しさを感じてしまう。
彼女は自宅の窓の一つを開けて遠くを眺めている。
この街というか、この住宅車には、窓を開けていても風が吹き込まない仕掛けが設置されている。彼女が窓の外に上半身を乗り出していても髪のなびきはほんの少しだけだ。
彼女はいつもの淋しい表情をしている。
彼女の淋しげな瞳の先、青く仄かに光る世界の果てしない青い平原の霞みかけた遠くに、ぼんやりと何かがいる。
“ある”ではなく“いる”と直感的に感じた。
遠くに何かがゆっくりと移動しているようだ。二人…なのか。何か大きな者達が歩いているようだ。
青い果てしない平原を歩く青い大きな者達。何者かは解らない。だが何かがゆっくりと歩いている。
彼女は唇を小さく開け何かをささやく。
何をささやいたのかは聴こえない。
でも彼女の瞳が微かに微笑んだように見えた。
彼女のその瞳の先の大きな者達をもう一度眺める。その何者かは歩くのをやめて止まった。そしてこちらの方に向いた。そのように見えた。
遠くから今まで吹いていなかった風が吹いてくる。
歩く青い大きな者達の方から風が吹いてくる。そう感じた。
彼女はまた微かに微笑む。
そしてまた何かをささやく。
吹いていた風がなくなった。
青い大きな者達も再び歩きだした。
彼女は微笑みながら窓を閉めた。
淋しさは変わらないが愉しげだった。
そう想えた。
(…世界の囁きを聴く…)
《幽玄の世界について(Regarding The Yugen World and )》
青く仄かに光る果てしない世界
果てしない青い平原を果てしなく走る列車
それはタウントレイン
果てのない幽玄レールを走る街
永遠に何かを求めて彷徨う人達が住む街
タウントレイン、それは幽玄の街
《タウントレインについて(Regarding The Town Train)》
機関車、住宅車、公民館車からなり、機関車に設置されている巨大クリスタルをエネルギー源とし、空気エンジンを動力源とする。レールはクリスタルの思念が造り出す。
住宅車には、一車両で一邸宅の大邸宅、二階建ての大きな間取りの住宅、二階建ての小さな間取りの住宅などがある。
《幽玄の世界の住人について(Regarding the inhabitants of The Yugen World)》
基本的に口から食物や水分を摂取しないでも生きられる。住人は空間に潜むエネルギー(次元の根源エネルギー)をそれぞれが直接取り込むことにより生命を維持している。
“幽玄の世界”を描くアートワーク(Artwork depicting “The Yugen World”)
【タウントレイン】シリーズ(【The Town Train】series)
※リンク(Link)
→《幽玄の世界(The Yugen World)》タウントレイン [第二話]:ラウンジの男(The Town Train [The second episode]:A Man in The Lounge)
“幽玄の世界”と関連するアートワーク(Artwork related to “The Yugen World”)
※リンク(Link)
→テイルコートとトップハットを装う狐紳士(A Fox Gentleman in a Tailcoat and Tophat)[地球のモノノ怪達 #3(The Mononoke on The Earth #3)]
→新しい駅に向けて(Hacia nuevas estaciones)