mechanical pencil,
acrylic,
illustration board 18×26×0.2cm(B5)
2022年
《この指輪について》
これは夢の中の出来事。
私は急ぎ足になり何処かへ向かっていた。
敷地を囲うフェンスを抜けるときに、左手の人差し指に着けていた指輪がフェンスに当たってしまった。それは龍の指輪だった。頭を人差し指の根元に向かって身体を巻くように嵌められていた。フェンスに当たったことで、その龍の尾が指から剥がされるように伸びて曲がってしまった。
“うわぁしまったぁ” と私は立ち止まり、指輪を眺めた。
私は二度、指輪を眺めたと想う。
その瞬間、何故か私は、何かの台の上に置かれた異様な工芸品を見ていた。それを私は直感的に指輪だと想った。一見すると到底指輪とは想えない物だが、そう想った。
それはとても細かな細工が全体に施されていて、繊細ながら重厚な物だった。指に嵌める部分が確かにあり、そこから繊細な繋ぎ部分が伸び、異様な本体部分に繋がっていた。
細かな構造物が組上がって全体を成しているようで、それぞれに施されたクロームめっきが、この異様な指輪全体に、暗い輝きを纏わせていた。所々にある宝石がクロームと対比を成して輝いていた。
私はこの指輪を嵌めたのだと想う。
次の瞬間、私は敷地の周りの道を歩いていた。
異様な指輪を左手の中指に嵌めて(左手全体に装着して)、道を歩いていた。そして、フェンスに沿うように敷地の端をパレードする異国の人々の列をフェンス越しに見入っていた。そのパレードの人々は何故か順々に私に向かって近づき、顔を間近で見るようにして過ぎていった。
そこで私は夢から覚めた………