acrylic,
canvas 27×46×2cm(M8)
2017年
売却済 Sold
この物語の続きの物語
The continuation storys of this story
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→狂気(Madness)
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→蒼い光(Blue Light)
“七歳の星”のクローン兵器を描いた他の絵
Other artwork drawing Clone weapons of “The star of Seven-Year-Old”
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→銀河大戦の記憶 クローン兵器(Memories of the galactic war Clone weapons)
→クローン兵器 ー プロディジャスハンド及びプロディジャスビームソード装備(Clone weapons ー Prodigious-Hand and Prodigious-Beam-Sword armed)
《物語(Story)》
【忠誠(Loyalty)】
眩しすぎるくらいの星々の光の集まり。
集まりなんてものじゃない、全天どころか上と下も右も左も前も後ろも周りの総てが輝く光の粒が密集した光景。
ここ1ヶ月、辺境の空域に滞在した永い時が、私にとってこの光景を驚きのものに変えていた。
ここは銀河の中心、恒星が密集しているところ。
私は仕事の為に銀河の中心から離れて、銀河の腕の中腹の恒星の疎らな宙域に短期滞在していた。そして、その後直ぐに久し振りに母星に帰っていた。
実は、私が所属しリーダーを勤めている“片付けチーム(The Clear-away team)”の仕事を終える度に私がいつも帰る場所は、本来の母星ではなく、銀河の中心ポータルなのである。銀河を支配する為に私の母星が造った、銀河の中心ゲート。
七歳の星は銀河の支配種族であり、宇宙連合を創設してほぼ総ての宇宙種族を統治している。
その七歳の星が造った銀河の中心ポータルの周りに通常の惑星と同程度の規模の人工の惑星が造られており、どんどん大きくなっている。それを皆、七歳の星と言っている。
そして本当の母星には、七歳の星の種族しか普通は入れない。
私は1ヶ月、本当の母星に訪れていたのである。
ある命令で、私は母星に呼び出され、不安と敵意の混じり合った心で母星へ向かった。
母星へ行くには銀河の中心ポータルをくぐるだけである。
私は母星に1ヶ月弱も滞在し、星の疎らなところで過ごした為、それに目が慣れてしまったのだ。
懐かしさを沸き立たせる場所ではあるが、同時に嫌悪感も沸いてしまう為、故郷は私にとってとても複雑な場所である。
私は母星に着いて直ぐに、中央管理区に向かった。
私に家族はいない。私達の種族には家族という概念は無い。カプセルの中で生まれ10年間の詰め込み教育が成される。そんな種族である。そんな種族が銀河を支配している。
中央管理区に着き、思念サインでゲートをくぐる。
受付で用件を告げ、兵器管理部に行くように指示を受けた。
『何でまた兵器なんだ…。』
兵器管理部フロアに入り、初めて会う人に案内され説明を聞く。彼は私を知っているようだ。まあ私を知らない人はいない。ある意味とても有名人だ。
彼は私に説明しながらフロアの窓の外、眼下のものを見せた。
それは、私の巨大なクローンであった。
身体のバランスは戦いに向く様に変えられているが、間違いなく私だ。
(私達の種族は身長120cm、他の種族から見ればまるで子供の体型だ。クローンは私達には有り得ない大人の体型バランスを巨大にした身体なのである。)
万が一の白兵戦用にクローン兵器を造らされたのだ。
私は最初は反論したが、有無を言わせずクローンの為のエネルギーマッチングをやらされた。遺伝子情報は当然母星に保管されており、既にクローン自体は造られていた。
そして万が一ではない。確実に使うことになることは明白である。母星は私を試しているのだ。私が母星に、逆らうのか、従うのかを。
私は3週間を駆け、操縦訓練をさせられた。そして、私が母星のポータルをくぐって銀河中心に帰ると同時に、クローン兵器も兵器用ポータルでやって来た。
仲間達は驚きを隠しきれない様子で、船にクローン兵器を積むのを手伝ってくれた。
40mあるクローン兵器を私達の船に積むには、捕獲種族用生命維持バルーンに入れるしかなかった。船の上側区画であり透明船殻で造られた卵形の巨大な船室である。
仲間達からは、何に使うのか聞きたいけど聞けない苛立ちが伝わってくる。母星からの命令だとは判っている為、私の意に反してのものだと気を使ってくれているのだ。
クローンを積み終わり、私をじっと見つめる仲間達に、私は口を開いた。
「母星から命令が出た。母星が滅ぼした惑星の生き残りが、その惑星の太陽系の他の星に逃げ延びているらしい。その生き残りを総て滅ぼしてこいとのことだ。」
『まあ、そうだろうな、仕方ねえなあ』
『でも何でクローンが要るんだ、船の武器じゃあ駄目なのかい』
「ああ、私がやれと言われた」
『ひとりで?』
「ああ」
『なんてこったぁ、それでずっと訓練でもしてたのかぁ?』
「そうだ」
皆、無言になる。
暫くして猫型宇宙種族が囁いた。
『やれるのか』
私は言葉がなかなか出せなかった。そして
「生き残りの彼らは、昔、私と親しかった者達なんだ」
『はあぁ』
皆、一斉に聞き返す。
『何だそれ、どうかしてるぜ』
『どうして君に?』
暫く眼を閉じていた私は
「そうさ、でも命令だ。母星は、奴等は、私の忠誠心を試している。」
2日後、私達は目標の惑星に向かった。仲間は皆、付いてきてくれた。当たり前だろうと言って。
ワープに入り、亜空間を抜け、ワープアウトする。
目の前には夜側の暗い球体を見せる惑星が浮かんでいる。
銀河の中心近くにある惑星、命令された惑星に着いたのだ。
仲間は皆、いつもの騒がしさはなく、言葉少なく、船内はずっと静かだった。私は自分の心臓の鼓動が響く音を聴くと同時に、それとは異なる周期で回る自分のチャクラの回転の振動をずっと感じていた。
そして私は、クローン兵器に乗り、独り、惑星に降下していった。
眩い銀河中心の星々を背にした惑星へと、大気圏降下アンブレラの後に付いて降下していった。