ーHare's worldー 晴れ(Hare)が紡ぎ出す絵と物語 宇宙の生命、それらが憧れる地球の女神 魅惑の世界が広がる Arts and stories spun by Hare. Lifeform in the universe, the goddess of the earth that they yearn for, the fascinating world spreads

一人用フロートシステム(Float System for one person)

一人用フロートシステム

mechanical pencil(シャープペンシル),
illustration board 18×26×0.1cm(B5)
2024年



《この構造説明図に関連したアートワーク(Artwork related to this structural drawing)》

※リンク(Link)
上空に浮かぶ島との遭遇(Encounter with an island floating in the high sky)
※地球決戦の終盤において、からくも滅ぼされずに生き残った銀河星団の戦艦の後日談
(※A later story of the battleship of The Galaxy Star Cluster that survived from being destroyed at the end of The battle for Earth)


《一人用フロートシステムについて(Regarding Float System for one person)》

極小型ダークマター推進球を一人用の圧縮気体推進システムに組み合わせたもの。
圧縮気体推進システムは宇宙空間で使用するものだが、それに引斥力を操作できる極小型ダークマター推進球を組み合わせることにより、惑星の大気圏などの重力下でも使用できるようにした。

アートワーク【上空に浮かぶ島との遭遇(Encounter with an island floating in the high sky)】に登場する銀河星団の未開惑星調査員が使用。

An extremely small dark matter propulsion ball combined with a one-person compressed gas propulsion system.
The compressed gas propulsion system is for use in space, but by combining it with an extremely small dark matter propulsion ball that can manipulate the attractive and repulsive forces, it can be used in the atmosphere of a planet or under other gravity conditions.

Used by an unexplored planet investigator of the galaxy star clusters in the artwork【Encounter with an island floating in the high sky】.


《推進操作方法(Propulsion Operation Method)》

・ハンドスティック入力 及び 音声入力
 (Hand stick input and Voice input)


《気体噴出ノズル(Gas jet nozzle)》

・全方向制御用気体噴出ノズル
 (Gas jet nozzles for omni-directional control)
 ・上面(Upper side)
 ・側面(Side)
 ・下面(Under side)

・メイン気体噴出ノズル(Main gas jet nozzle)
 ・後部(Back side)


《搭乗部(Boarding part)》

・身体接触部調整機構を有し、暖房機を備える
 (It has a body contact part adjustment mechanism and a heater)

・調整機構及び暖房機をコンピューターが制御する
 (The adjustment mechanism and heater are controlled by a computer)


《気体噴出ノズル部内部機構(Internal mechanism of Gas jet nozzle part)》

・コンピューターにより圧縮気体(液化ガス)タンクから各気体噴出ノズルの各圧縮気体待機室に圧縮気体が送られ、コンピューターにより各圧縮気体待機室の弁が制御され、各気体噴出ノズルから気体が噴出され推進力となる
 (The computer sends compressed gas from the compressed gas (liquefied gas) tank to each compressed gas standby chamber of each gas jet nozzle, the computer controls the valves of each compressed gas standby chamber, and gas is ejected from each gas jet nozzle to provide propulsion)


《緊急時使用の携帯グライダー(Portable glider for emergency use)》

・高強度極薄膜樹脂製翼と炭素繊維製高強度極細パイプで構成されている
 (It consists of High-strength ultra-thin plastic wing and High-strength ultra-thin carbon fiber pipe)

・ユニフォームに一体化されたバックパックとして携帯でき、使用時はバックパックから展開される
 (It can be carried as a backpack integrated into the uniform and deployed from the backpack when in use)


《物語(Story)》

【上空に浮かぶ島との遭遇(Encounter with an island floating in the high sky)】

「うわぁっ、何だっ」
それは突然、雲の中から現れた。

沢山の雲が密集する上空で私は一人、フロートシステムだけを腰に装備し、孤独な空中遊泳を楽しんでいた。このフロートシステムは極小型ダークマター推進球を一人用の圧縮気体推進システムに組み合わせたものだ。
圧縮気体推進システムは宇宙空間で使用するものだが、それに引斥力を操作できる極小型ダークマター推進球を組み合わせることにより、惑星の大気圏などの重力下でも使用できるようにしたものだ。

私は気の赴くままに幾つかの小さな雲を避けながら、壁の様に眼前にそそり立つ雲に近づいていた。
その時、ちょうど目の前の雲の壁の一点が揺らいだ。そして何か染みの様なものが拡がっていく。
何だ。
その染みはどんどん大きくなり、中央が赤っぽく輝いている様に想えた。
と、突然、物凄く巨大な艶のある丸いボールが雲から出てきた。
「うわぁっ、何だっ」
その巨大なボールは更に大きくなっていく。巨大なボールの中央に赤いマークが描かれている。
今まで雲しかなかった視界が、艶のある丸みを帯びた巨大な人工物に占領され、切れ切れとなった無数の雲の欠片が人工物にまとわりついている。
その巨大なボールがこちらに迫ってくる。ゆっくりではあるが、このままではこの人工物に衝突してしまう。兎に角、移動しなければ。急遽、私は急上昇を始めた。
迫り来る巨大なボールをぎりぎりで下方にやり過ごすように、私は上方へと移動していく。
視界の殆どを占める巨大なボールが下後方へ流れていく様子を驚きながら見つめ、前方へ眼を向ける。
ボールならやり過ごせば、再び密集した雲が視界に拡がる筈だ。
“しかし何なのだ、このボールは”
そう想いながら前方を見つめる。
しかしそこに現れたのは、草原だった。
青々した草原が雲の霧から現れて私の眼下に拡がっていく。私は何故か草原の上を飛んでいる形となった。
巨大なボールは半球しかなく、その後には草原が続いていた。
私は天空の草原を暫く飛び続けた。
これは、というか、ここは何なのだ。
そして先程の巨大なボールに描かれていた大きな赤いマークを思い出す。
あのマーク、確か見たことがある。
あれは銀河星団のどこかの部隊エンブレムではなかったか。
そうだとすると、この巨大な人工物はもしかして戦艦ではないか。銀河星団の戦艦。
雲の霧から現れて下を流れていく、雲の水分を心行くまで吸った青々とした草原を見ながら、私は考える。
『”戦艦に草原” どうしたのだろう、この戦艦』

私は既に一年ほど、この惑星に滞在している。
それまでは気に留めていなかったのだが、あの戦艦に遭遇した後に訪れた幾つかの土地の人々が、戦艦のことを知っているらしいことに気が付いた。戦艦に遭遇する前にも、空に浮かぶ何かのことを話しているのを聞いたことがあった気がする。
昨日から中央大陸の端に在る村に立ち寄っているのだか、この地方の人々の間ではあの浮かぶ人工物を”島”もしくは”浮き島”と呼んでいる様だ。人々は”島”が戦艦だとは知らないのかもしれない。もしかしたら知っているのかもしれない。
私が彼らと話をした時、ある婦人が眼を細めて空を眺めながら語ってくれたことがあった。彼女はこう語った。
『島の人達はいい人達なのよ、とても。あぁ、あの人にまた逢いたいわ』と。

私は旅人。そして銀河星団の未開惑星調査員。
銀河星団に属する惑星の宇宙種族の一人だ。
宇宙連合と銀河星団の双方にとって未開であるこの惑星の調査を兼ねて、この惑星全土を旅して周っている。
こんなところで銀河星団の戦艦に出くわすとはいったい何があったのだろうか。また何処かで出逢うことがあれば接触を試みたいものだ。
私は母星の政府の依頼でこの惑星の調査をしている。
あの戦艦の船員達がここの村人達と接触をしたということは、何かの都合でこの惑星から出られないのかもしれない。人目を忍んで都会や大きな街ではなく小さな村を選び、何かを調達したのかもしれないのだ。
戦艦の甲板に草原が出来てしまうのだから、戦艦が植物またはその種を拾ってしまうほどに陸地近くに高度を下げたことがあるか、惑星降下艇が陸地に着陸したときに植物や種を拾い戦艦への着艦時に持ち帰ってしまったか、そんなことがあったのだろう。
そして草原に見えるほどに植物が成長する年月をこの惑星の大気圏内で過ごしているのであろう。
銀河星団として私は彼らと連携を取るべきなのかもしれない。彼らは何か深刻な事態に陥っているかもしれないのだ。
先ずは銀河星団所属の戦艦がこの惑星に留まらなければならない状況に置かれているかもしれないということだけは、私の母星の政府に伝えておいた方が良いのかもしれない。
あの赤い部隊マークを伝えれば、戦艦の特定が出来るかもしれない。そうなれば事態が良い方向に進展する可能性がある。

 

………3ヶ月前………地球決戦………

「艦長、このままでは殺られてしまいます」
「直ぐにワープしろ」
「ですが、先程の一撃でシステムが一部故障しています」
「ワープは出来るのだろ」
「出来ます、しかし行き先を指定出来ません。どこに飛ばされるか解りません」
「それでも、皆死ぬより善い。ワープしろ」
「了解」
我々は宇宙連合の艦隊から逃げ延びた。
そしてワープした先に眼前に拡がったのは、雲が多く覆う青緑色の惑星だった。
「ここは何処だ」
「銀河の外縁部です。この星は銀河マップには載ってはいますが、連合も星団もまだ干渉していません」
「そうか、暫くこの星に隠れよう。船の周りに水滴を纏わり付けろ。船を雲に擬態して雲の中に紛れるんだ」
「了解」
戦艦はダークマター推進のエネルギーの一部を使って船の周りに停滞フィールドを形成し、それを船に対して空間ロックをし、艦内の備蓄水の一部を停滞フィールド内に撒いて船の周囲に水滴を停滞させた。
そう、戦艦を雲で包んだのだ。
そして雲に溢れる青緑色の惑星に降下していった。


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